
磯釣りをする人なら、一度は手にしたことのある魚「アイゴ」。
和歌山をはじめ、全国の磯場でよく釣れる魚ですが、釣り人の間では「臭い魚」「食べられない魚」として敬遠されがちです。
しかし、実際には地域によっては食用とされ、工夫すれば美味しく食べられる魚でもあります。
では、なぜアイゴは他の魚と比べて独特の磯臭さを持つのでしょうか?
ここでは、アイゴの生態・食性・臭いの原因から、臭みを消す処理方法や調理法まで徹底的に解説します。
① アイゴとはどんな魚か?
・アイゴはスズキ目アイゴ科に属する魚で、体長は30cm前後に成長します。
・幼魚は「バリコ」と呼ばれ、関西の磯ではおなじみの存在です。
・背びれ・胸びれ・腹びれに毒棘があり、刺されると激しい痛みを伴います。
このように「毒を持つ」「臭い」と、釣り人からは敬遠されることも多い魚ですが、磯場に群れで生息するため、サビキ釣りやフカセ釣りの外道としてよく掛かります。
② アイゴが磯臭い理由
1. 藻食性に特化した食性
アイゴは 草食性の強い魚 で、岩に付着した海藻を主食としています。
特にホンダワラやアオサといった磯の藻類を好みます。
この藻類にはヨードや独特の植物油成分が含まれており、それが体内に蓄積され、筋肉や脂に磯臭さとして残ります。
2. 長い消化管による発酵作用
藻類を消化するために、アイゴは非常に長い腸を持っています。
その中で藻が発酵し、アンモニアや草臭に似た成分が発生します。
これが血合いや内臓だけでなく、身にまで臭いを移してしまいます。
3. 季節による臭いの変化
・春~夏は藻が豊富で、特に強烈な磯臭さを持つ
・冬場は藻が減るため、臭いが弱まることが多い
釣り人の間で「冬のアイゴは臭みが少ない」と言われるのは、この食性の変化によるものです。
③ 他の魚と何が違うのか?
グレ(メジナ)やマダイも藻を食べることがありますが、雑食性のため臭みが身に残りにくい傾向にあります。
一方、アイゴは藻に特化した魚であるため、食性そのものが臭みの原因となっているのです。
また、グレやチヌは調理次第で臭いを消しやすいのに対し、アイゴは腸内発酵の影響が強く、処理を怠るとすぐに全身へ臭いが回ります。
これが「他の魚と違って特別に臭い」と言われる理由です。
④ アイゴの臭みを取るための処理方法
アイゴは臭いが強いため、釣った後の処理で大きな差が出ます。
・釣り上げたらすぐに 血抜き を行う
・内臓をできるだけ早く取り除く
・血合いや皮に臭みが多いので、三枚おろし後に皮を引く
・塩水で洗ってから料理する
特に内臓を残したまま放置すると、腸内の発酵臭が全身に広がり、食べられないレベルにまで臭くなります。
⑤ アイゴのおすすめ調理法
1. 唐揚げ
小型のバリコは骨ごと食べられる唐揚げが最適です。
高温で揚げることで臭みが和らぎ、香ばしい味わいに変わります。
2. 味噌煮
味噌や生姜は磯臭さを中和してくれるため、アイゴには相性抜群です。
古くから漁師料理として親しまれてきました。
3. 干物
開きにして干すことで水分と共に臭み成分が抜け、保存性も高まります。
⑥ 地域によっては高級魚扱い
実はアイゴは「臭い魚」として捨てられることが多い一方で、地域によっては食文化として根付いています。
・愛媛や高知では「バリコの味噌煮」
・奄美大島では「アイゴの塩干し」
・沖縄では「スク」と呼ばれる稚魚が珍味として食べられる
このように、地域によっては貴重な食材として扱われており、「臭い=食べられない魚」というわけではありません。
⑦ 釣り人が知っておくべき注意点
・ヒレの毒棘に刺されると激痛を伴うため、取り扱いに注意が必要です。
・釣り場で不用意に捨てると悪臭が広がり、トラブルの原因になることもあります。
・食べる場合は処理を徹底し、できれば小型を狙うのがベターです。
まとめ
アイゴが他の魚と違って磯臭い理由は
・藻食に特化した食性
・長い消化管による発酵作用
・腸内の臭い成分が全身に回りやすい特性
この3つにあります。
ただし、釣った直後に処理を徹底し、唐揚げや味噌煮といった調理を工夫すれば、美味しく食べることも可能です。
「磯臭い魚」として敬遠されがちなアイゴですが、実は地域によっては食文化に根付いた価値ある魚。
釣り人としては、ただ捨てるのではなく、工夫して食べることで新たな発見があるかもしれません。

