南紀の初夏、潮だまり(タイドプール)でボラやグレ(メジナ)の幼魚が圧倒的に多く見られるのには、以下のような生態学的・環境的な理由があります。
■ ① 潮だまりは「天然の保育園」
潮だまりは外洋と遮断され、波が穏やかで天敵が少ない環境。
このため、多くの魚種にとって産卵後の稚魚や幼魚を育てる絶好の場所です。
特にボラやグレのような沿岸性の魚は、成長初期に浅瀬に避難する本能を持っています。
■ ② 初夏は孵化のピーク時期
・ボラ:春〜初夏にかけて産卵し、5月頃に稚魚が潮だまりに現れ始める。
・グレ(メジナ):冬〜春に産卵、4〜6月に稚魚が潮だまりに多く見られる。
このため、初夏はちょうど稚魚の数がピークとなり、潮だまりがにぎやかになるのです。
■ ③ 南紀は地形・水温・水質の条件が揃っている
南紀地方は以下のような要素が整っており、稚魚が育つのに最適な場所となっています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 地形 | 岩礁帯や潮だまりが豊富で、身を隠しやすい |
| 水温 | 黒潮の影響で安定した暖かさがある(20〜25℃) |
| 水質 | 栄養豊富で、プランクトンや小型のエビ・ヨコエビが多い |
| 捕食圧 | 潮だまりでは大型魚が侵入しにくく、生存率が高い |
■ ④ 雑食性で環境適応力が高い2種
ボラもグレも雑食性であり、潮だまりにある藻類・微細な甲殻類・有機物を何でも食べることができます。
特にグレの稚魚は、藻類をこすって食べる能力があり、干潮時でも生き抜く力があります。
■ ⑤ 潮回りの影響で取り残されやすい
中潮〜大潮の干潮時には、多くの稚魚がタイドプールに取り残されることがあります。
その結果、特定の場所に密集して見られる現象が起こります。
■ まとめ:南紀の初夏の潮だまりは「命のゆりかご」
・潮だまりは波がなく、温かくてエサも豊富。
・外敵が少なく、稚魚の生き残り率が高い。
・ボラ・グレは特に潮だまり適応力が高く、成長までの重要なステージとして利用している。
これらの理由により、南紀の初夏の潮だまりにはボラとグレの稚魚が圧倒的に多くなるのです。


