カツオは「鮮度劣化」で味が落ちやすい魚?最高級「モチガツオ」から見る鮮度の重要性

「カツオのたたき」や「カツオの刺身」は、日本の食文化に欠かせないものですが、その美味しさは鮮度に大きく左右されます。

「カツオは鮮度が命」と言われるのには、明確な理由があります。

特に最高の状態とされる「モチガツオ」は、その鮮度の高さを象徴しています。

最高級「モチガツオ」とは?

「モチガツオ」とは、釣られてから死後硬直が始まる前のごく短い時間、または死後硬直直後のまだ身が柔らかく、もちもちとした独特の食感を持つカツオを指します。

特に漁獲から港、そして消費者の手元に届くまでの時間が極めて短い、沿岸部で一本釣りされた鮮度抜群のカツオが「モチガツオ」と呼ばれ、市場でも高値で取引されます。

この「もちもち感」は、ATP(アデノシン三リン酸)がまだ多く残っており、死後硬直が十分に進行していないか、始まったばかりの状態であることに由来します。

なぜカツオは鮮度劣化で味が落ちやすいのか?

カツオが鮮度とともに味が落ちやすい理由は、その魚の特性にあります。

  1. 豊富な血液と活動量の多さ: カツオは外洋を高速で泳ぎ回る回遊魚であり、その筋肉は非常に活動的です。そのため、筋肉中には酸素を運ぶためのミオグロビンなどの色素タンパク質や血液が多く含まれています。死後、これらの成分は酸化しやすく、生臭さの原因となる物質を生成しやすいのです。

  2. ATPの分解と死後硬直の進行が早い: 活動量の多いカツオは、死後、筋肉中のATPが非常に速いスピードで分解されます。ATPは旨味成分であるイノシン酸に変化する前の物質ですが、その分解過程や、ATPが急激に失われることによる死後硬直の早期進行は、身質の変化(硬くなりすぎたり、パサついたり)や望ましくない風味の発生につながることがあります。

  3. ヒスタミン生成のリスク(サバ科魚類の特徴): カツオはサバやマグロと同じサバ科に属します。サバ科の魚には、筋肉中にヒスチジンというアミノ酸が多く含まれています。鮮度が落ち、ヒスタジン分解菌が増殖すると、このヒスチジンがヒスタミンに変換されます。ヒスタミンはアレルギー様食中毒の原因となるだけでなく、加熱しても分解されず、舌をピリピリさせるような刺激や苦味、不快な風味の原因となります。これが、カツオの鮮度が落ちると「美味しくなくなる」「まずくなる」と感じる大きな理由の一つです。

鮮度を保つための重要な処理

カツオの美味しさを最大限に引き出し、鮮度劣化を遅らせるためには、漁獲後の適切な処理が極めて重要です。

  • 活締め(いけじめ): 魚を速やかに絶命させることで、無駄なATP消費を抑え、死後硬直を遅らせ、身質の劣化を抑制します。
  • 徹底した血抜き: 血液は劣化が早く、生臭さやヒスタミン生成の原因となります。釣ったらすぐに、エラを切るなどして迅速かつ丁寧な血抜きを行うことが、カツオの鮮度維持には不可欠です。

 

カツオの熟成について

白身魚の中には、数日間熟成させることで旨味(イノシン酸)がピークに達し、より美味しくなるものも多くあります。

しかし、カツオの場合、前述のような劣化の速さ(特にヒスタミンリスク)があるため、生食で長期間の熟成には向きません。

「モチガツオ」のように、むしろ死後硬直前の「超高鮮度」の状態が最も珍重されることが多いです。

ただし、適切に処理・保存されたカツオが、死後数時間~翌日にかけて旨味が増すタイミングはあります。

まとめ:「魚=鮮度」が特に重要な魚

カツオは、その生理的な特性により、鮮度管理が非常に重要です。

特に生食においては、鮮度が美味しさに直結し、劣化が味の低下や安全性に大きく関わります。

「モチガツオ」は、その最高峰の鮮度が生み出す特別な食感と風味であり、まさに「カツオは鮮度が命」を体現しています。

適切に処理された高鮮度のカツオを選ぶことが、美味しいカツオを味わうための最大のポイントと言えるでしょう。

カツオはモチガツオが最高と言われるが、鮮度が劣化すると美味しくなくなる魚。釣太郎

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