港で漁師さんが船の「かんこう(カンコウ)」という言葉を使っているのを聞いたことがあるかもしれません。
「間口(まぐち)」という言葉と音が似ているため混同されがちですが、実は全く別の役割を持っています。
結論から言うと「かんこう」とは船に備え付けられた「生簀(イケス)」のことです。
漁師や釣り船特有の設備であり、魚やエサを活かしておくための重要なスペースについて釣太郎が分かりやすく解説します。
「かんこう」は魚を活かすための専用スペース
船の中央部などにあり、海水が常に出入りするようになっている区画を「かんこう(カンコウ)」と呼びます。
釣った魚を新鮮な状態で持ち帰ったり、カツオの一本釣りなどに使う活きイワシを長期間生かしておくために使われます。
船底に穴が開いており、船が走る水流を利用して自動的に新鮮な海水が循環する仕組みになっているのが最大の特徴です。
漢字で書かれることは少なくカタカナで表記されることが多いですが、漁師の間では昔から当たり前のように使われている専門用語になります。
船の開口部である「間口(まぐち)」と同じ場所を指すことが多いため「間口(かんこう)」と表現されることもありますが、正しくは生簀そのものを指す言葉です。
なぜ一般船には「かんこう」がないのか
この「かんこう」という生簀の設備は、客船や貨物船といった一般の船には一切存在しません。
なぜなら一般船は人や荷物を運ぶことが目的であり、海水を船内に取り込んで生き物を活かしておく必要がないからです。
もし貨物船にカンコと同じように船底に穴が開いて海水が入ってくる構造があれば、たちまち沈没の危機に陥ってしまいます。
漁船やプレジャーボートは「魚を獲る・活かす」という特別な目的があるため、一部屋をわざと海と繋げて生簀にしているのです。
カンコウは海の恵みを扱う漁師特有の素晴らしい知恵と技術の結晶と言えます。
釣り船での「かんこう」の賢い使われ方
現代の遊漁船やプレジャーボートでも、このカンコのシステムはしっかりと受け継がれています。
釣った魚を釣り客ごとに分けて活かしておくために、小さなカンコが複数並んでいる船も珍しくありません。
帰港する直前までカンコで魚を泳がせておき、最後にしっかりと血抜きや神経締めを行うことで最高の鮮度を保つことができます。
港で漁船や釣り船を見かけた際は、甲板にある四角い蓋の下に広がる「かんこう」の存在をぜひ想像してみてくださいね。

