ボラの「へそ」を捨てるとは、ダイヤをドブに捨てるようなもの。外道の腹に隠された「幻の珍味」

防波堤の嫌われ者、ボラ。

掛かれば仕掛けを荒らすし、見た目もちょっと…ということで、釣れた瞬間にリリース、あるいは陸に放置なんて光景をよく目にします。

でも、はっきり言います。

それ、ものすごく損をしています。

ボラの身が美味しいことは前回お話ししましたが、実はボラには「身以上」とも言われる、知る人ぞ知る「幻の部位」が存在します。

それが「ボラのへそ」。

一匹から一つしか取れない、この希少部位。

食通が「これだけのためにボラを釣りたい」と唸る、その正体と味について、今回はこっそりお教えします。


1. そもそも「へそ」って何?

魚にへそがあるわけないだろう、と思いますよね。

その通りです。

「ボラのへそ」の正体は、消化器官の一部である「幽門(ゆうもん)」という部位です。

ボラは、海底の泥と一緒にエサを吸い込みます。

その際、泥とエサを胃の中でより分けるために、発達した筋肉の塊が必要になるのです。

泥をすり潰せるほど強力な筋肉。

それが「へそ」です。

見た目は、まるでそろばんの玉のような、ハート型のような、不思議な形をしています。

2. 食感は「砂肝」か「高級貝」か

このへそ、何が凄いかというと、その「食感」です。

筋肉の塊ですから、歯ごたえが抜群。

噛むと「コリッコリ」「シャクシャク」と、心地よい音が響きます。

味自体にクセは全くありません。

よく例えられるのが、焼き鳥の「砂肝」。

あるいは、サザエやアワビといった「貝類」の食感に近いという人もいます。

泥臭いイメージのボラですが、このへそに関しては、綺麗に洗ってしまえば臭みは皆無。

純粋に食感と、噛むほどに染み出る旨味を楽しむ、最高のアテになります。

3. 失敗しない「へそ」の食べ方

調理は驚くほど簡単です。

まず、ボラを捌いて内臓を取り出します。

胃の出口あたりに、親指の先くらいの硬いコブがあります。

それがへそです。

切り取ったら、真ん中から縦に包丁を入れて開きます。

中には泥が詰まっているので、これを流水で綺麗に洗い流してください。

薄皮が気になる場合は剥いでもいいですが、そのままでも大丈夫です。

おすすめの食べ方:

  • 塩コショウ焼き: 一番のオススメです。 水分を拭き取り、塩コショウを振ってフライパンで焼くだけ。 ビールが止まらなくなります。

  • 刺身(湯通し): 新鮮なものなら、サッと湯通しして氷水で締め、わさび醤油やポン酢で。 貝の刺身のような風味が楽しめます。

  • 煮付け: 身と一緒に甘辛く煮付けても、独特の歯ごたえが良いアクセントになります。

4. 大きなボラほど美味い

このへそ、当然ですがボラのサイズに比例して大きくなります。

50センチ、60センチを超えるような「トド」クラスの巨大ボラ。

普段なら「うわっ」と引いてしまうサイズですが、へそ狙いなら「宝箱」に見えてきます。

大きなボラほど筋肉が発達しており、へその厚みも歯ごたえも段違いです。


まとめ:外見で判断してはいけない

「ボラなんて」と馬鹿にしていた昨日までの自分にサヨナラしましょう。

あのヌルヌルした魚体の中に、こんなに洗練された珍味が隠されているなんて、自然の神秘すら感じます。

もし、周りの釣り人がボラを釣って舌打ちしていたら。

「そのへそ、くれませんか?」と声をかけてみてください。

きっと、極上の晩酌があなたを待っています。

もちろん、和歌山・南紀の綺麗な海で育ったボラなら、その味はさらに格別ですよ。

海の珍味。ボラの「へそ」釣太郎

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