はじめに:なぜ魚によって「厚さ」を変えるのか?
釣り上げたばかりの新鮮な魚。
せっかくなら一番美味しい状態で食べたいものです。
しかし、どんな高級魚でも「切り方」を間違えると台無しになってしまいます。
例えば、歯ごたえのあるタイを分厚く切ると、口の中にいつまでも残ってしまい、旨味を感じる前に飲み込むことになります。
逆に、柔らかいカツオを薄く切りすぎると、頼りない食感で満足感がありません。
刺身の厚さを決めるルールはたった一つ。
**「身が硬い魚は薄く、身が柔らかい魚は厚く」**です。
今回は、具体的な魚種ごとに、何ミリくらいがベストなのかを解説します。
1. 白身魚(タイ・ヒラメ・グレ・イシダイ)
【最適厚み:薄め(2mm~5mm)】
釣り人がよく釣るタイやグレなどの白身魚は、繊維がしっかりしており、弾力が強いのが特徴です。
特に釣りたての新鮮なものほど「死後硬直」で身が締まっています。
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切り方のコツ「削ぎ切り(そぎぎり)」 包丁を寝かせて、断面を広く取るように薄く削ぎます。 薄く切ることで、適度な歯ごたえを残しつつ、ポン酢や醤油がよく絡むようになります。 フグの「てっさ」が向こう側が透けるほど薄いのは、身が非常に硬いからです。 数日寝かせて熟成させ、身が柔らかくなってきたら、少し厚め(7mm程度)に切ってネットリ感を味わうのもおすすめです。
2. 赤身・大型回遊魚(カツオ・マグロ・ブリ)
【最適厚み:厚め(8mm~12mm)】
マグロやカツオなどの赤身魚は、水分が多く身が柔らかいのが特徴です。
また、白身魚に比べて「旨味」と「鉄分(酸味)」のパンチが強いため、ボリューム感を持たせることで満足度が上がります。
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切り方のコツ「平造り(ひらづくり)」 包丁を立てて、真っ直ぐに引き切ります。 口に入れた瞬間、歯がスッと入り、噛むほどに濃厚な旨味が溢れ出します。 カツオのタタキなどは、さらに分厚く(15mm以上)切ることもありますが、これは表面を炙って香ばしさを加えているため、厚くてもバランスが取れるからです。
3. 青魚(アジ・イワシ・サバ)
【最適厚み:普通~やや厚め(5mm~8mm)またはタタキ】
アジやイワシなどの小魚は、身の硬さは中くらいですが、脂の乗りが良いのが魅力です。
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切り方のコツ「飾り包丁」 皮目が美味しい魚ですが、皮の下にある繊維や骨が気になることがあります。 厚めに切る場合は、皮目に「×」や「///」のような切れ込み(飾り包丁)を入れると、醤油の馴染みが良くなり、見た目も美しくなります。 また、細かく刻んで薬味と混ぜる「なめろう」や「たたき」にできるのも、この魚種ならではの楽しみ方です。
4. イカ類(アオリイカ・ケンサキイカ)
【最適厚み:形状による(隠し包丁が必須)】
イカは特殊で、表皮と直角の方向に繊維が走っており、非常に噛み切りにくい性質があります。
厚く切ると「ゴム」のようになってしまいます。
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切り方のコツ「糸造り」または「隠し包丁」 細く麺のように切る「糸造り」にすると、繊維が断ち切られ、甘みが爆発的に増します。 平らに切る場合は、表面に細かい切れ込み(隠し包丁)を無数に入れてから切り分けてください。 醤油が染み込み、ねっとりとした甘みを感じやすくなります。
まとめ:厚さを操れば、料理はもっと楽しくなる
「今日は釣りたてだから、あえて薄く切って歯ごたえを楽しもう」
「3日寝かせたから、少し厚く切って旨味を味わおう」
このように、魚の状態(鮮度)に合わせて厚みを調整できるようになれば、あなたはもう立派な
「魚料理の達人」です。
釣太郎みなべ店では、刺身を引くのに最適な包丁のメンテナンス用品や、刺身の味を引き立てる地元の醤油なども取り扱っています。
釣行の際は、ぜひクーラーボックスと一緒に「美味しく食べるための準備」も整えていってください。

