はじめに
冬の釣りの大敵、それは寒さだけではありません。「ノロウイルス」などの感染症性胃腸炎もその一つです。
一般的に「ノロウイルス=カキ(二枚貝)」というイメージが強いですが、**「アジやグレなどの魚
は大丈夫なのか?」「釣った魚の刺身は安全なのか?」**と疑問に思ったことはありませんか?
今回は、釣り人が正しく恐れるべきポイントと、美味しい魚を安全に食べるための知識を解説します。
1. 結論:魚の「体内」でノロウイルスは増殖しない
まず安心してください。魚(魚類)やイカの体内で、ノロウイルスが増殖することはありません。
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二枚貝(カキ・アサリ等)のリスクが高い理由 二枚貝は大量の海水を吸い込み、プランクトンを濾過して食事をします。その際、海中に漂うウイルスを内臓(中腸腺)に濃縮して蓄積してしまうため、「天然のフィルター」としてウイルスを保有しやすくなります。
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魚のリスクが低い理由 魚やイカは生態が異なるため、筋肉(身)の中にウイルスを蓄積することはありません。したがって、生物学的に「魚の身そのもの」がノロウイルスの発生源になることはないのです。
2. 油断大敵!魚が「運び屋」になるケース
「じゃあ、釣った魚は手も洗わずに捌いて食べて大丈夫?」というと、それは大きな間違いです。
魚自体は感染していなくても、以下のルートでウイルスが付着(汚染)している可能性があります。
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体表への付着 生活排水が流れ込む河口付近や漁港内など、水質が万全でない場所では、魚の体表(皮やウロコ)にウイルスを含んだ海水が付着している可能性があります。
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調理器具からの二次汚染 これが最も多いケースです。帰宅後、ウイルスが付着した手で魚を触ったり、まな板や包丁を介してウイルスが刺身に移ったりすることがあります。
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「アニサキス」とは別物 よく混同されますが、アニサキスは「寄生虫」、ノロは「ウイルス」です。アニサキスは目視で除去したり冷凍で死滅しますが、ノロウイルスは冷凍では死にません。
3. 釣り人特有の「感染ルート」に注意
実は、魚を食べるよりも**「釣り場での行動」**そのものにリスクが潜んでいます。
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公衆トイレの落とし穴 堤防や公園のトイレは不特定多数が使用します。ドアノブやレバーを触った手には、高確率でウイルスが付着していると考えてください。
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おにぎり・パンの直食い 撒き餌や魚を触った手、あるいはトイレに行った後の手で、そのままおにぎりを食べていませんか? **「経口感染」**が釣り人における最大の感染ルートです。魚のせいではなく、自分の手についたウイルスを食べてしまっているのです。
4. 釣果を安全に楽しむための3つの対策
せっかくの美味しい魚で苦しまないために、以下の対策を徹底しましょう。
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「酸性アルコール」か「流水手洗い」 一般的な消毒用アルコールはノロウイルスに効きにくいとされています。「手洗い」で物理的に洗い流すか、ノロウイルス対応の「酸性アルコール」等を携帯しましょう。
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調理前の真水洗浄 魚を捌く前、ウロコや内臓を取った後は、必ず真水(水道水)でよく洗い流してください。海水中のウイルスは真水で洗い流すことで大幅にリスクを減らせます。
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加熱調理 体調が優れない時や、小さな子供、高齢者が食べる場合は、刺身ではなく加熱調理(85℃以上で90秒以上)が最も安全です。アジフライや煮付けにすれば、ウイルスは死滅します。
まとめ
「魚の身に罪はないが、表面と自分の手には要注意」 これが正解です。
冬は脂が乗った美味しい魚が釣れる最高のシーズンです。
正しい知識と衛生管理で、安全に冬の釣りを楽しみましょう。

