結論:アオリイカに“白系・赤系”という遺伝的分類は存在しない
まず最初に明確にしておくべきポイントはこれです。
アオリイカに「白系」「赤系」という品種・遺伝的な分類は存在しません。 これは学術的にも確認されており、正式な分類は以下の3つだけです。
- シロイカ(地方名)=アオリイカ
- アオリイカ(学名:Sepioteuthis lessoniana)
- 亜種としての「アオリイカ3系統」
- 太平洋系群
- 琉球系群
- 南西諸島系群
つまり、白系・赤系という呼び方は科学的分類ではなく、釣り人の経験則から生まれた“俗称”です。
では、なぜその俗称が広まったのか。 ここからが化学的に面白い部分です。
🧪【化学的根拠】アオリイカの体色変化は“色素胞”と“反射板”の働きによるもの
アオリイカは体色を自由に変える生き物です。 その仕組みは、皮膚にある3種類の細胞が関係しています。
▼① クロマトフォア(色素胞)
- 黄色・赤色・黒色の色素を持つ細胞
- 伸縮することで色が強く見えたり弱く見えたりする
▼② イリドフォア(反射板細胞)
- 青・緑・銀色の光を反射する細胞
- 光の角度で色が変わる
▼③ ルコフォア(白色細胞)
- 白色光を反射する細胞
- 体色を“白っぽく”見せる
この3つの細胞の働きによって、アオリイカは瞬時に体色を変化させます。
🟥🟦「白系」「赤系」と呼ばれる理由は“色素胞の反応の違い”
釣り人が「白系」「赤系」と感じるのは、個体差による色素胞の反応の違いです。
▼白系に見える個体の特徴
- ルコフォア(白色細胞)が強く反射
- イリドフォアが光を拾い、青白く見える
- 警戒心が薄い・リラックス状態で出やすい色
▼赤系に見える個体の特徴
- 赤色クロマトフォアが活発に伸縮
- 興奮・捕食・威嚇時に赤みが強くなる
- ストレスや環境変化でも赤くなることがある
つまり、白系・赤系は“個体の性質”ではなく“その時の生理反応”です。
🌊【環境要因】水温・光量・背景色でも色が変わる
アオリイカは背景に合わせて体色を変えるため、環境によっても“白系・赤系”に見えます。
▼白く見えやすい環境
- 砂地
- 明るい日中
- 水温が安定している時
▼赤く見えやすい環境
- 岩礁帯
- 夕まずめ〜夜
- 水温が急変した時
これらの条件が重なると、釣り人は「白系」「赤系」と感じるわけです。
🧠【釣り人的解釈】白系=食いが良い?赤系=警戒している?
現場の経験則として、こう言われることがあります。
- 白系 → 食いが良い、活性が高い
- 赤系 → 警戒している、スレている
これは完全に間違いではありません。 なぜなら、色素胞の反応は自律神経の状態(興奮・リラックス)と連動しているためです。
ただし、科学的には「白系=釣れる」「赤系=釣れない」と断定できるデータはありません。
📝【まとめ】白系・赤系は“科学的分類ではない”が、色素胞の働きで説明できる
- アオリイカに白系・赤系という遺伝的分類は存在しない
- 色の違いは色素胞(クロマトフォア・イリドフォア・ルコフォア)の働きによる
- 個体差・環境・生理状態で体色が変わる
- 釣り人の経験則として白系・赤系が語られてきた
- 科学的には“体色変化の一時的な状態”でしかない
つまり、 白系・赤系という言葉は科学的根拠は薄いが、色素胞の働きで“説明はできる” というのが正しい理解です。

