南紀地方の祝い魚「ブダイ(イガミ)」が年末に高騰する理由。 他地方では見向きもされない下魚が、なぜ高級魚に変身するのか?

年末が近づくと
南紀の魚屋や釣具店で必ず話題になる魚があります。

それが
**ブダイ(南紀名:イガミ)**です。

お正月用としての需要が一気に高まり
1匹1000円を超える価格でも次々と売れていきます。

他地域では
「磯臭い」
「下魚」
「敬遠されがち」
といった評価を受けることも多い魚です。

しかし南紀では
立派な祝い魚です。

この記事では
なぜイガミが南紀で特別な存在なのか。
なぜ毎年価格が高騰するのか。
魚と地域文化の深い関係について解説します。


南紀でブダイは「イガミ」と呼ばれる

南紀地方では
ブダイを標準和名で呼ぶ人はほとんどいません。

地元では一貫して
イガミです。

この呼び名自体が
すでに「生活に根付いた魚」である証拠です。

観賞魚的な存在でも
一部のマニア向けでもなく
家庭の食卓に直結した魚として扱われてきました。


正月になると価格が跳ね上がる理由

理由① 正月に必ず食べる魚だから

南紀では昔から
正月にイガミを食べる習慣があります。

焼き物
煮付け
味噌仕立て
地域や家庭ごとに調理法は違いますが

「正月にイガミがないと落ち着かない」
という声は珍しくありません。

これは
単なる嗜好ではなく
年中行事として定着した食文化です。


理由② 冬のイガミは脂と旨味が別格

ブダイは
季節によって評価が大きく変わる魚です。

特に冬のイガミは
・身が締まり
・脂が程よく回り
・クセが出にくい

南紀の潮と水温条件が重なることで
他地域では味わえない状態になります。

「磯臭い」と言われる原因の多くは
・処理不足
・鮮度低下
・季節外れ

南紀の冬イガミは
それらとは別物です。


理由③ 供給量が極端に少ない

イガミは
大量に安定供給できる魚ではありません。

磯場中心の魚で
漁獲量は限られます。

さらに
・正月前に需要が集中
・保存より鮮魚需要が強い

この条件が重なり
価格は毎年上がる構造になっています。

これは投機ではなく
完全に需要と文化による価格形成です。


他地方では「下魚」扱いされがちな理由

これは
イガミが悪い魚だからではありません。

理由はシンプル

・調理文化がない
・食べ慣れていない
・旬を知らない

この三点です。

魚の評価は
味そのものより
扱われ方で決まることが多いのです。

フグ
ハモ
クエ

これらも
文化がなければ成立しない魚です。


魚は地方文化を映す鏡

イガミは
「魚は全国共通ではない」
という事実を象徴する存在です。

同じ魚でも
・地域
・季節
・調理
・行事

これらが違えば
価値は180度変わります。

南紀にとってのイガミは
単なる魚ではありません。

正月を迎えるための魚
家族が集まるための魚
地域を感じるための魚

そうした意味を背負っています。


南紀の魚屋・釣具店がイガミを大切に扱う理由

価格が高いからではありません。

「売れるから」
だけでもありません。

地元の人が
毎年楽しみにしている魚だからです。

それを理解しているからこそ
年末のイガミは
特別な扱いになります。


まとめ

南紀地方で
ブダイ(イガミ)が正月に高騰するのは

・恒例行事として完全に定着している
・冬の味が突出して良い
・供給が限られている
・地域文化として価値がある

このすべてが重なっているからです。

魚の価値は
図鑑や全国基準では決まりません。

その土地でどう食べられ
どう受け継がれてきたか

イガミは
それを教えてくれる
南紀らしい一匹です。

※冷凍で販売しているスーパーもあります。ほかの地方では考えられない事ですが。

南紀地方でブダイが正月に高騰するのは恒例行事として完全に定着している。冬の味が突出して良い。供給が限られている。地域文化として価値があるから。釣太郎

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