全国のブランドアジ勢力図から、日本にどれほど多くの“ブランド化されたアジ”が存在するのかが一目で分かる。
南紀の寒尺アジは味は最高級だが、ブランドとして無名。
その理由を市場構造・マーケティング力の観点から詳しく解説。
最初に
日本には驚くほど多くの「ブランドアジ」が存在します。
関アジや岬アジのような全国区ブランドから、地域限定のプレミアムアジまで、多様な“ご当地アジ”が名産品として扱われています。
今回作成した「ブランドアジ勢力図」は、全国のブランドアジがどの地域で誕生し、
どのような分布になっているのかをわかりやすく示したものです。
この記事では、勢力図をもとにブランドアジの構造と、なぜ南紀の寒尺アジが“味は最高なのに
ブランド化していないのか”を、マーケティング視点で詳しく解説します。
日本各地には、漁協主導でブランド化された“ご当地アジ”が多数存在しています。
関アジ・鯵ヶ沢アジ・岬アジなどはよく知られていますが、実際には勢力図の通り、全国規模で小ブランドが多数点在しています。
ブランドアジが乱立している理由は、各地域が独自の漁法や水質、潮流を武器に“差別化”を狙っているためです。
同じマアジでも、環境が違えば脂質量も味わいも変わるため、地域性がブランドとして成立します。
ブランドアジの評価は、味だけで決まるわけではありません。
むしろ重要なのは
・漁協の発信力
・市場への出荷体制
・ブランド規格(サイズや漁法のルール)
・メディア露出
・観光資源としての活用
といった“マーケティング戦略”です。
これらが揃って初めて、全国区のブランドとなります。
ブランドアジ勢力図を見ると、多くの地域が“独自ブランド”を作り、観光名物としての価値向上を図っていることが分かります。
関アジのような圧倒的な知名度を持つブランドは例外的で、ほとんどのブランドアジは「地域限定の名産」という位置づけに止まっています。
南紀の寒尺アジは、味・脂質量・食感の点ではブランドアジのトップクラスに匹敵します。
冬季の南紀は黒潮の恩恵で餌が豊富になり、接岸する尺アジは脂質15〜18%の“トロアジ”に仕上がります。
関アジを食べ慣れたプロでも驚くレベルです。
しかし、勢力図には南紀の寒尺アジというブランドが存在しません。
これは
・流通しない
・漁協ブランドが存在しない
・堤防の個人釣果でしか手に入らない
という理由からマーケティングが成立していないためです。
ブランドアジの世界は、味の良さよりも“流通量とプロモーション力”が強く影響します。
南紀の寒尺アジは、味だけなら全国トップ級なのに、ブランド勢力図の外側に位置しています。
ブランドアジ勢力図を分析すると、ブランド価値は以下の3つで決まっていることが分かります。
・規格(サイズ・漁法・締め方)が統一されている
・漁協がブランド管理を行い、市場での取引実績を持つ
・観光・メディア露出に乗せやすい流通量がある
南紀の寒尺アジは、このどれも満たしていないためブランド化されていません。
これは「味が劣るから」ではなく「流通させられない」という構造的な問題です。
南紀の寒尺アジは、ブランドアジ勢力図の“外側の存在”ですが、実際の味ではブランドアジのトップ層に十分対抗します。
つまり、全国的には無名でも、知る人ぞ知る「超一級の隠れプレミアムアジ」と言えます。
要約
全国には無数のブランドアジが存在し、ブランド価値は味ではなく“マーケティング力”で決まります。
南紀の寒尺アジは、味・脂質量では全国トップ級ですが、流通がなく漁協ブランドも存在しないため、勢力図には登場しません。
つまり、ブランドとしては“無名”だが、食味では“最上位”という極めて珍しい存在です。

