
釣った魚の身体が「グニャッ」と曲がるのは、実は生理学的な理由と死後変化が関係しています。
以下では、科学的な裏付けを交えながら、釣り人にもわかりやすく解説します。
🎣 釣った魚の体が曲がる理由は大きく3つ!
① 筋肉が“部分的に収縮”するため
魚を釣り上げた直後、体がまだ動いているように「反り返ったり」「ねじれたり」することがあります。
これは、筋肉や神経がまだ生きているからです。
魚の筋肉は、
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神経からの電気信号
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筋肉内のカルシウムイオンの放出
によって動いています。
釣り上げて空気中に出ると、
酸素が足りず、細胞が「異常興奮状態」になり、
筋肉が部分的に硬直したまま止まるため、体が曲がった姿勢で固まってしまうのです。
② 筋肉の死後硬直(リゴルモルティス)が始まるため
魚は死後、筋肉内のATP(エネルギー物質)が減少します。
ATPがなくなると筋肉を“緩める”ことができず、収縮したまま固まる=死後硬直が起きます。
このとき、
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釣り上げ時に体を反らせて暴れていた魚
-
氷やバケツの中で斜めになっていた魚
は、その姿勢のまま硬直してしまうため、「曲がった体」で固まります。
特に、青物(ブリ・ハマチ・カンパチ)やタイ類のように筋肉が発達した魚は、
死後硬直が強く出やすく、体が曲がりやすい傾向があります。
③ 温度変化と急冷による「筋収縮ショック」
釣り上げた魚をすぐ氷水(海水氷)に入れると、
急激な温度変化で筋肉繊維が一瞬ギュッと縮みます。
これは「熱ショック」と逆で、**冷ショック(cold shock)**と呼ばれる現象です。
生きている筋肉が急に冷えると、
細胞内外のイオンバランスが崩れ、局所的な収縮が起きて“反り返る”形になります。
特にアジやイサキなどの細長い魚はこの影響を受けやすく、
氷水に入れた瞬間に「くの字」に曲がることもあります。
🧊 対処法:魚の体を真っ直ぐに保つには?
① 血抜き後すぐに体勢を整える
釣り上げてすぐ神経締め・血抜きを行ったあと、
体を真っ直ぐにして氷の上に寝かせることが大切です。
硬直前なら、まっすぐの姿勢で固定されます。
② 氷の上ではなく「海水氷」で冷やす
真水氷は魚体にストレスを与え、筋肉を急収縮させやすいです。
海水氷は緩やかに冷えるので、筋肉を“びっくりさせず”美しい姿勢を保てます。
※釣太郎の海水氷(1kg 200円/3kg 400円)は、魚の曲がりを防ぐ実用面でも非常に効果的です。
③ 小型魚はまとめて押さえない
アジやサバをクーラーでまとめて押すと、
重みで曲がった姿勢のまま硬直します。
新聞紙やタオルで魚体を軽く包むと、圧力を分散できます。
🧠 補足:死後硬直と魚の鮮度の関係
魚の死後硬直は、温度と時間で変わります。
| 水温 | 硬直開始 | 硬直ピーク | 硬直解除 |
|---|---|---|---|
| 25℃ | 約30分後 | 約2時間後 | 約6時間後 |
| 10℃ | 約1時間後 | 約6時間後 | 約12〜18時間後 |
| 0℃ | 約3時間後 | 約12時間後 | 約24時間後 |
つまり、冷やすほどゆっくり硬直し、
その間に姿勢を整えれば、美しい状態を維持できます。
🎯 まとめ
| 原因 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 筋肉の異常収縮 | 神経やカルシウムが暴走 | 血抜き後すぐに姿勢を整える |
| 死後硬直 | ATP枯渇による固定化 | 真っ直ぐにして冷却 |
| 冷ショック | 急冷で筋肉が縮む | 海水氷でやさしく冷やす |

