釣りをしたり、鮮魚店を覗いたりしたときに、「あれ?同じアジ(マダイ)なのに、
片方はスリムで、もう片方は平たくて体高があるな」と不思議に思ったことはありませんか。
これはあなたの気のせいではありません。 同じ種類の魚でも、体型(特に体高)が大きく異なることはよくあります。
この違いは、単なる個体差ではなく、彼らの「生き様」そのものを表しています。 そして、その違いは「味」にも直結します。
この記事では、魚の体高が違う理由、代表的な魚、そして「結局どっちが美味しいのか」を徹底的に解説します。
体高が違う最大の理由:「生息地」と「泳ぎ方」
結論から言うと、魚の体高の違いは、主に**「生息している場所(環境)」と、
それに伴う「泳ぎ方(運動量)」**によって決まります。
大きく分けて、魚は2つのタイプに分類されます。
1. 体高が低い(スリム)な魚:「回遊型」
- 生息地: 潮流の速い外洋や、広い範囲を泳ぎ回る。
- 特徴:
- 常に速い流れに逆らったり、長距離を移動したりする必要があります。
- そのため、水の抵抗を最小限にする「流線形」の体型、つまりスリムで体高が低いアスリート体型に発達します。
- 筋肉質で、身が引き締まっています。
- イメージ: 長距離ランナー
2. 体高が高い(ふっくら)な魚:「瀬付き型(居付き型)」
- 生息地: 潮流が比較的緩やかな内湾や、岩礁(瀬)の周り。
- 特徴:
- エサが豊富な場所(瀬)に定住し、あまり長距離を泳ぎません。
- 速く泳ぐ必要がないため、体高が高く、平たい体型になります。
- 運動量が少ない分、エサを効率よく体に蓄え、脂が乗りやすくなります。
- イメージ: 美食家で運動不足気味
つまり、**「速い流れで運動し続ける魚はスリムに、穏やかな場所でエサを食べる魚は
太りやすく(体高が高く)なる」**ということです。
体高差が見られる代表的な魚
この「回遊型」と「瀬付き型」の違いが顕著に現れる魚たちを紹介します。
1. アジ(真アジ)
最も分かりやすい例がアジです。
- 回遊型(スリム):
- 一般的に「クロアジ」と呼ばれることがあります。
- 背中が黒っぽく、スリムな体型。
- 広い海を群れで回遊しています。
- 瀬付き型(体高が高い):
- 「キアジ」や「地アジ」と呼ばれることがあります。
- 体が黄色っぽく、体高が高いのが特徴。
- 特定の瀬に居付くため、脂が乗りやすく、「関アジ」や「岬アジ」といったブランドアジの多くはこのタイプです。
2. マダイ(真鯛)
マダイも体型に差が出やすい魚です。
- 回遊型(スリム):
- 外洋を泳ぎ回るマダイは、スリムで美しいピンク色をしています。
- 筋肉質で、全体的にシャープな印象です。
- 瀬付き型(体高が高い):
- 「地付きのタイ」などと呼ばれます。
- 岩礁帯に定住し、エビやカニを飽食しています。
- 体高が高く、色も赤黒くなる傾向があります。
3. グレ(メジナ)
磯釣りの人気ターゲットであるグレも、タイプが分かれます。
- 回遊型(沖グロ):
- 沖の潮目を回遊するタイプ。
- スリムで、引きが非常に強いのが特徴です。
- 瀬付き型(地グロ):
- 磯の周りに居付くタイプ。
- 体高が高く、丸々としています。
- 冬場は脂が乗って美味ですが、エサ(海藻)によっては磯臭さが出やすいとも言われます。
【結論】結局、どっちが美味しいの?
これが一番気になるところでしょう。
「スリムな回遊型」と「ふっくらした瀬付き型」、美味しいのはどちらでしょうか。
これは**「好みによる」**というのが答えですが、味の傾向はハッキリと異なります。
体高が低い(スリム)な魚:弾力とさっぱりした旨味
- 味の特徴:
- 運動量が多いため、身が非常によく締まっています。
- 脂は少なめですが、筋肉質な「旨味」が強いです。
- 食感はプリプリ、コリコリとした弾力が楽しめます。
- おすすめな人:
- 「脂っこい魚は苦手」
- 「魚の旨味と歯ごたえを楽しみたい」という方。
- 食べ方: 鮮度が良ければ、食感を楽しむ刺身が最高です。
体高が高い(ふっくら)な魚:濃厚な脂ととろける食感
- 味の特徴:
- 運動量が少ない分、脂をたっぷりと蓄えています。
- 特に腹身は「トロ」のように脂が乗っていることが多いです。
- 食感は柔らかく、口の中でとろけるような感覚を味わえます。
- おすすめな人:
- 「とにかく脂が乗った魚が好き」
- 「濃厚な旨味と甘みを味わいたい」という方。
- 食べ方: 刺身はもちろん、塩焼き(脂がジュワっと溶け出す)や煮付け(脂が煮汁に溶け込む)にしても絶品です。
まとめ:魚の「体型」は生き様の証
同じ魚でも体高が違う理由について解説しました。
- 体高が低い(スリム):回遊型。潮流の速い場所で鍛えられたアスリート。味はさっぱり系で食感が良い。
- 体高が高い(ふっくら):瀬付き型。穏やかな場所でエサを豊富に食べた美食家。味は脂が乗って濃厚。
どちらが優れているというわけではなく、どちらもその環境に適応した結果の姿です。
次に魚を釣ったり、選んだりする機会があれば、ぜひその「体型」に注目してみてください。
「この魚はどんな場所で生きてきたんだろう」
そう想像しながら味わうと、いつもの魚がもっと美味しく、愛おしく感じられるはずです。


