数年前と比べ、タコが釣れなくなった原因は?

「昔はどこの堤防でも簡単に釣れたのに、最近はさっぱりだ。」
そんな声をよく耳にします。
実際にタコの漁獲量は全国的に減少傾向にあり、釣りでも“当たり年が減った”という実感を持つ人が多いようです。

では、なぜ数年前と比べてタコが釣れなくなったのでしょうか。
釣り人・漁業者・研究者の視点を踏まえて、原因を分かりやすくまとめます。


目次

  1. 海水温の上昇と環境変化

  2. 餌となる生物の減少

  3. 漁獲圧の増加(釣り人・漁師ともに)

  4. 海の「栄養塩不足」問題

  5. 災害・濁り・土砂による生息地の変化

  6. タコの特性(短命・変動の激しさ)

  7. 今後の対策と釣り人ができること


海水温の上昇と環境変化

近年、日本近海の海水温は平均で1〜2℃ほど上昇しています。
この変化はタコの生活環境にも影響を与えます。

タコはもともと比較的冷たい海を好みます。
水温が高くなりすぎると、成長が早まる一方で、寿命が短くなり、繁殖サイクルも乱れがちになります。
また、幼生期に適した水温帯がずれて、分布が北へ移動している可能性も指摘されています。

つまり、「昔いた場所に今いない」のは、環境そのものが変わってしまったからなのです。


餌となる生物の減少

タコは雑食性で、小魚やカニ・エビなどを食べて生きています。
ところが近年、これら餌となる生物も減っています。

理由は主に以下の通りです。

・海が“きれいになりすぎた”ことで、プランクトンや小魚が減った。
・漁港整備や護岸工事で、甲殻類の隠れ家が減った。
・台風・豪雨による濁りや砂の堆積で、底生生物が住みにくくなった。

餌が少なければ、タコは成長できず、数も減っていきます。


漁獲圧の増加(釣り人・漁師ともに)

数年前に比べ、タコ釣り人気は急上昇しました。
SNSや動画の影響で、全国的に「タコ狙いの釣り人」が増えています。

また、漁師の側でも、価格が高騰しているタコを積極的に狙う動きがあり、結果的に資源への圧力が高まっています。

特に問題なのは、小さなタコ(300g未満)を早期に獲ってしまうこと。
繁殖前に捕獲されると、翌年の個体数が増えません。
「釣れたら全部キープ」ではなく、「リリースサイズを守る」ことが重要です。


海の「栄養塩不足」問題

一見すると、海がきれいになることは良いことのように思えます。
しかし実際は、栄養が少なくなりすぎて、食物連鎖の土台が弱っている海も増えています。

たとえば兵庫県明石市では、「タコが減った原因は海の貧栄養化ではないか」との声が上がっています。
生活排水処理の高度化によって、海へ流れ込む窒素・リンが減り、海藻や小魚の数が減少。
それがタコの餌不足につながっていると考えられています。

つまり、「海がきれいすぎて、タコが減った」という皮肉な現象です。


災害・濁り・土砂による生息地の変化

2018年の西日本豪雨など、大規模な災害の後には、海底の環境が大きく変化します。
土砂が流入して海底を覆ったり、岩礁帯が埋もれたりすると、タコの巣穴が失われます。

また、濁りの長期化はタコの活動にも悪影響。
視覚や触覚を使うタコにとって、濁った環境は捕食が難しくなり、生息場所を移動することもあります。


タコの特性(短命・変動の激しさ)

タコの寿命は一般的に1年程度と短く、年による当たり外れが大きいのも特徴です。
つまり、天候・水温・潮流などが少し変わるだけで、その年の個体数が大きく増減します。

「去年は多かったのに、今年は少ない」という現象は、自然なサイクルの一部でもあります。
ただし、近年は“少ない年が続いている”ため、単なる波ではなく構造的な減少が起きている可能性もあります。


今後の対策と釣り人ができること

・小さいタコ(300g未満)はリリースする。
・釣りすぎず、適度に楽しむ。
・濁り・高水温時は無理に狙わず、環境の回復を待つ。
・地域の漁協や釣具店のルールを確認する。

また、地域によっては資源回復のために休漁期間を設けたり、人工礁を整備するなどの取り組みも始まっています。
釣り人一人ひとりの意識が、未来の釣果を守るカギになります。

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