秋の味覚として釣り人にも食通にも愛されるタチウオとカマス。
どちらも塩焼きにすると絶品ですが、調理法には少し違いがあります。
タチウオは塩焼きだけでなく、ふっくらとした煮付けも定番料理として親しまれています。
一方、カマスといえば「塩焼き」というイメージが強く、煮付けで食べる機会はあまりありません。
この違いはどこから来るのでしょうか?
その秘密は、それぞれの魚が持つ身の質と鮮度に隠されていました。
結論:カマスが塩焼きに最適な2つの大きな理由
カマスが塩焼きで食べられることが多い最大の理由は、以下の2つです。
- 身の水分量が非常に多いこと
- 鮮度が落ちるのがとても速いこと
この2つの特性が、塩焼きという調理法をカマスにとって最適解にしています。 詳しく見ていきましょう。
理由①:「水カマス」と呼ばれるほどの水分量
カマスの身質を語る上で欠かせないのが、その水分量の多さです。
特にヤマトカマスは「水カマス」という別名を持つほど、身に多くの水分を含んでいます。
カマスを煮付けにすると… 水分が多く柔らかい身は、煮込むと身崩れしやすくなってしまいます。
また、味が染み込みにくく、少し水っぽい仕上がりになりがちです。
カマスを塩焼きにすると… 塩を振って焼くことで、身の余分な水分が適度に抜け、旨味が凝縮されます。
結果として、皮はパリッと香ばしく、中の身は驚くほどふっくらとジューシーに仕上がるのです。
一方、タチウオは上品な脂が乗っており、加熱してもパサつきにくいしっかりとした身質を持っています。
そのため、煮付けにしても身崩れしにくく、その脂の旨味が煮汁に溶け出して深い味わいを生み出すのです。
理由②:鮮度落ちが早く、シンプルな調理法が求められる
カマスは、魚の中でも特に鮮度落ちが速いことで知られています。
釣り上げた直後からどんどん鮮度が落ちていくため、「カマスの焼き食い一升飯(うまいカマスの
塩焼きがあれば、一升の飯が食える)」ということわざがある一方で、産地でなければ新鮮なもの
を手に入れるのが難しい魚でもあります。
- 鮮度が落ちるとどうなるか?
- 身が柔らかくなりすぎる
- 独特の臭みが出やすい
このような特性から、複雑な調理をするよりも、新鮮なうちに素材の味を活かすシンプルな
調理法が最も美味しく食べられる方法とされています。
その代表格が「塩焼き」や、水分を抜いて旨味を凝縮させる「干物」なのです。
タチウオも鮮度が大切な魚ですが、カマスほど極端ではありません。
そのため、刺身や炙り、煮付け、天ぷらなど、より幅広い調理法に対応できるのです。
🧂 カマスは塩焼きだけじゃない!通な食べ方
「じゃあ、カマスは塩焼きでしか食べられないの?」というと、そんなことはありません。
新鮮なカマスが手に入った時だけ楽しめる、絶品料理も存在します。
- 炙り刺身: 鮮度が命ですが、三枚におろして皮目をバーナーで軽く炙れば、香ばしい皮と上品な白身の旨味が口いっぱいに広がります。
- フライ・ムニエル: 衣でカマスの水分と旨味を閉じ込める調理法です。外はサクッと、中は驚くほどフワフワの食感を楽しめます。
- 干物: カマスの定番調理法の一つ。水分が抜けることで旨味が極限まで凝縮され、ご飯のお供にもお酒の肴にも最高です。
✨ まとめ:魚の個性を知れば、もっと美味しくなる!
タチウオとカマス、それぞれの定番料理の違いは、魚が持つ個性=「水分量」と「鮮度」の違いにありました。
- カマス: 水分が多く鮮度落ちが早い。だからこそ、余分な水分を飛ばし旨味を凝縮させる塩焼きが最高に美味しい。
- タチウオ: 上品な脂としっかりした身質。塩焼きはもちろん、その旨味を活かした煮付けも絶品。
それぞれの魚の特性を理解することで、なぜその調理法が定番なのかが見えてきます。
もし釣りたて、あるいは鮮魚店でピカピカのカマスを見かけたら、ぜひ定番の塩焼きでその真価を味わってみてください。
そして、機会があれば新鮮なうちにしか味わえない炙り刺身やフライにも挑戦してみてはいかがでしょうか。


