エギングでアオリイカを釣り上げると、多くの場合、強烈なジェット噴射と共に真っ黒な墨を吐き出します。
「アオリイカは墨を吐いて仲間に危険を知らせる」という話は、アングラーの間で広く知られています。
しかし、不思議なことに、墨を吐いた後も立て続けに釣れ続くこともあれば、まるで潮が引いたようにアタリがピタッと止まることもあります。
この違いは一体どこにあるのでしょうか。
そのメカニズムと、釣果を伸ばすためのヒントを解説します。
墨を吐くのは「危険信号」だけではない
まず、アオリイカが墨を吐く行動には、主に3つの目的があると考えられています。
1. 煙幕効果(カモフラージュ) 捕食者から逃げる際に、墨で視界を遮り、身を隠すためです。
2. 偽りの体(ダミー) 吐き出した墨を塊状にして、自分の分身のように見せかけ、捕食者の注意を逸らします。
3. 危険信号 仲間に対して危険を知らせるための信号としても機能していると言われています。
このうち、釣り人が最も関心を寄せるのが「危険信号」です。
アオリイカは、危険を察知すると、墨に含まれるフェロモンや化学物質を水中に放出し、仲間に警戒を促すと考えられています。
この信号が、その後の釣果に大きく影響するのです。
連発する時とピタッと止まる時の決定的な違い
なぜ、墨を吐いた後でも釣れ続く時と、全くアタリがなくなる時があるのでしょうか。
その鍵は、**「墨の量」と「群れの状況」**にあります。
【ケース1】立て続けに釣れる時
この場合、以下のような状況が考えられます。
・群れの警戒心が低い 秋のアオリイカは、まだ警戒心が薄い新子イカの群れが主体です。 捕食意欲が旺盛なため、一匹が危険を察知しても、群れ全体の警戒態勢には繋がりにくいと考えられます。
・墨の量が少ない ヒット直後にわずかな墨しか吐かなかった場合、危険信号が十分に伝わらず、他のイカが気にせずエギにアタックしてくることがあります。
・広範囲に散らばった群れ 潮の流れが速かったり、広範囲に群れが散らばっていたりする場合、墨の信号が特定の個体にしか届かず、他のイカには影響がないことがあります。
【ケース2】ピタッとアタリがなくなる時
一方、アタリが急になくなる場合は、以下のような状況が考えられます。
・群れの警戒心が高い 特にプレッシャーのかかりやすい釣り場や、大型のイカが多い群れでは、非常に警戒心が高いです。 一匹が吐いた墨の信号を素早く察知し、群れ全体が一斉に身を潜めることがあります。
・大量の墨を吐いた ヒット直後に大量の墨を吐き出した場合、その警戒信号は広範囲に強く伝わります。 墨に含まれる化学物質が、周囲のイカの捕食意欲を一時的に低下させる可能性があります。
・密集した群れ 小規模な群れや、海藻帯などに身を寄せ合うように密集している群れでは、一匹が吐いた墨の信号が瞬時に全体に伝わり、一斉にアタリがなくなることが多いです。
釣果を伸ばすための対策
アオリイカが墨を吐いてアタリが止まった時、諦めてはいけません。
以下の対策を試してみましょう。
1. ポイントを休ませる 墨の信号が群れに伝わってしまった場合、まずはその場所を数分間休ませるのが効果的です。 群れの警戒心が解けるのを待ちましょう。
2. エギのカラーやサイズを変更する 警戒したイカは、これまでのエギには反応しなくなることがあります。 カラーを派手系からナチュラル系、もしくはその逆へ。 サイズも一回り小さいものに替えてみることで、反応が良くなることがあります。
3. 投げる方向を変える 墨の煙幕ができた場所から少し離れた、まだ警戒心がないイカがいる場所にキャストし直してみましょう。
4. 潮通しの良い場所へ移動する 潮の流れが速い場所では、墨の信号もすぐに拡散されます。 もし可能なら、少し移動して潮通しの良い場所を狙ってみるのも一つの手です。
まとめ
アオリイカが墨を吐いた後、釣果が連発するか、ピタッと止まるかは、その時の群れの警戒心や墨の量、そして群れの状況によって大きく左右されます。
釣果が止まってしまった場合は、その場で粘るだけでなく、エギやポイントを変えるなどの工夫をすることで、再びアタリを呼び込むことができるでしょう。
この知識を活かして、秋のティップランやエギングをさらに楽しんでください。


