南紀の豊かな海は、多くの生物の宝庫です。
その多様な生態系の基盤を支えているのが、目には見えないほど小さなプランクトンたちです。
一見すると常に同じように漂っているように見えますが、実は季節ごとにその種類や量、そして役割が大きく変化しています。
今回は、そんな南紀の海で見られるプランクトンの季節ごとの移り変わりを、わかりやすく解説します。
春:生命の芽吹き、植物プランクトンの大増殖
南紀の春の海は、まさに生命の揺りかごです。
冬の間に蓄積された栄養塩類が、暖かくなり始めた日差しと混ざり合い、植物プランクトンが**大増殖(ブルーム)**を始めます。
この時期に代表的なのは、珪藻類と呼ばれる種類のプランクトンです。細胞壁がガラス質でできており、非常に美しい形をしています。
植物プランクトンは光合成によって増えるため、この時期の海は全体的に緑がかった色に見えることがあります。
この大増殖は、動物プランクトンや、それを食べる魚の稚魚たちの重要な食料源となり、海の食物連鎖の出発点となります。
夏:多種多様なプランクトンが彩る海
夏になると、水温の上昇とともに多様なプランクトンが登場します。
春に大増殖した植物プランクトンは、栄養塩の消費や動物プランクトンの捕食によって量が落ち着いてきますが、代わりに夜光虫や渦鞭毛藻類といった種類が増えてきます。
夜光虫は刺激を受けると青白く光る特性があり、夏の夜の海岸を幻想的に彩ることがあります。
また、この時期には、エビやカニ、魚の稚魚など、成長過程にある動物の幼生プランクトンも多く見られます。
彼らはやがて成長し、成体の姿へと変化していきます。
秋:成熟した海のプランクトン
秋は夏の高い水温が落ち着き、再び栄養塩類が供給され始める移行期です。
この時期は、夏に比べてプランクトンの種類や量は落ち着いてきますが、代わりに大型のプランクトンや、夏に発生した生物の幼生がさらに成長した姿で見られるようになります。
また、台風などで海が攪拌されると、一時的に植物プランクトンが再び増殖することもあります。
秋の穏やかな海は、多くの海洋生物が冬に備えるための準備期間であり、プランクトンもその重要な一員として存在しています。
冬:静寂と次の春への準備
冬の南紀の海は、水温が下がり、全体的にプランクトンの活動が落ち着く時期です。
しかし、完全にいなくなるわけではありません。
水温が低くても活動できる一部のプランクトンは存在し、また、春の大増殖に備えて、水中に栄養塩類が蓄積されていきます。
海は一見静かに見えますが、次の生命の爆発的な活動に向けて、着実に準備を進めているのです。


