釣り人や水槽で海水魚を飼育している人の中には、
「海水の塩分は約3.5%だから、真水に食塩をその濃度で入れれば海水と同じになるのでは?」
と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、ただ食塩を入れるだけでは本当の海水にはなりません。
この記事では、海水と食塩水の違いを科学的に解説し、さらに人工海水を作る正しい方法についても紹介します。
海水の塩分濃度は約3.4〜3.5%
まず海水の基本情報から。
海水の塩分濃度は世界中の平均で 約3.4〜3.5% と言われています。
つまり、1リットルの水に対しておよそ35グラムの塩が溶けている計算です。
この数値だけを見ると「食塩を同じ割合で入れればOK」と思いがちですが、実はそれでは海水
とは大きく異なるものになります。
海水の成分は「食塩」だけではない
海水に含まれる塩分の大部分は 塩化ナトリウム(NaCl)、つまり食塩です。
しかし海水にはそれ以外にも非常に多くのミネラルや成分が含まれています。
代表的な内訳を見てみましょう。
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塩化ナトリウム(NaCl):約77%
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塩化マグネシウム(MgCl₂):約10%
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硫酸マグネシウム(MgSO₄):約5%
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硫酸カルシウム(CaSO₄):約1%
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硫酸カリウム(K₂SO₄):約1%
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その他、ヨウ素・リチウム・ストロンチウムなど微量元素
このように、海水は「塩分=食塩」ではなく、多種多様なミネラルのカクテルなのです。
食塩水と海水の決定的な違い
ただ食塩を溶かした水(食塩水)は、NaClしか含んでいません。
一方で海水にはカルシウムやマグネシウム、カリウムといった生命維持に欠かせない成分が含まれています。
そのため、食塩水に魚や海の生物を入れるとどうなるかというと――
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浸透圧のバランスが崩れる
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筋肉や神経の働きに必要なミネラルが不足する
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長時間の生存はできない
という結果になってしまいます。
つまり、見た目は似ていても食塩水=海水ではないのです。
人工海水はどうやって作るのか?
では、水槽で海水魚やサンゴを飼育したい場合はどうすればよいのでしょうか。
答えは、市販されている 「人工海水の素」 を使うことです。
これは海水に含まれる主要ミネラル(NaCl、Mg、Ca、K、SO₄など)をバランスよく配合した
粉末で、真水に溶かすだけで天然海水に近い環境を再現できます。
釣り人が一時的にアジやイカを活かしておく場合も、人工海水の素を使えば生存率が大幅に上がります。
まとめ:食塩だけでは「海水」にはならない
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海水の塩分濃度は約3.5%だが、成分は食塩だけではない
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マグネシウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルが重要
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食塩水では生物は長く生きられない
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本物の海水を再現したいなら人工海水の素を使うのが必須
「海水=塩辛い水」という単純なイメージを持っている人は多いですが、
実際には生命維持に欠かせない繊細なバランスが隠されています。
釣りや飼育で扱う際には、この違いを理解しておくことが大切です。


