■ はじめに
海水魚を扱う際、絶対に注意しなければならないのが「真水の使用」です。
「ちょっと洗うだけなら大丈夫」と思っていませんか?
実は、真水は海水魚にとって命取りになるケースが多いのです。
この記事では、海水魚に真水が大敵とされる理由を科学的・実践的に解説し、釣り人や飼育者が
気を付けるべきポイントをまとめます。
■ 1. 浸透圧ショックが致命的
海水魚の体液は、周囲の海水とほぼ同じ塩分濃度(約3.5%前後)に保たれています。
しかし真水に触れると、周囲の塩分濃度が一気に下がり、体内の塩分濃度との差が極端に大きくなります。
・細胞内に水分が急激に流れ込む
・細胞が膨張して壊れる
・これを「浸透圧ショック」と呼ぶ
この現象はわずか数分で起こり、魚にとっては非常に危険です。
■ 2. えら(鰓)のダメージ
海水魚のえらは、塩分を調整する特殊な構造を持っています。
しかし、真水にさらされるとこの調整機能が狂い、呼吸や塩分排出ができなくなります。
・短時間で酸欠状態になる
・えらの細胞膜が損傷する
・回復が難しく、死に至ることも
つまり、真水は「呼吸器官を直接攻撃する毒」ともいえる存在です。
■ 3. 魚体表の粘膜が剥がれる
海水魚の表皮には「粘膜」があり、病原菌や寄生虫から身を守っています。
真水に触れるとこの粘膜が溶け落ち、バリア機能が失われます。
・細菌感染しやすくなる
・寄生虫が付きやすくなる
・体力を大きく消耗する
釣った魚を真水でジャブジャブ洗うと、鮮度が落ちるのもこのためです。
■ 4. 真水の使用は“最小限”にすべき理由
もちろん、全く使ってはいけないというわけではありません。
血抜きの際やキッチンでの調理過程など、どうしても必要なシーンはあります。
ただし、その場合でも
・できるだけ短時間
・必要最低限の量
・最後に海水や塩水で軽くすすぐ
この工夫で魚体へのダメージを最小限に抑えられます。
■ 5. 実践例(釣り人・飼育者向け)
【釣り人】
・釣った魚は真水で洗わず、海水氷で冷却
・血やヌメリを落とすときは、海水を使うのが基本
【飼育者】
・水槽の掃除で器具を洗うときは真水OKだが、魚やライブロックは絶対NG
・淡水浴(寄生虫駆除)に使う場合も、時間を1〜3分以内に厳守
■ まとめ
海水魚にとって真水は「毒」に近い存在です。
浸透圧ショック・えらの損傷・粘膜の剥離といったダメージは、取り返しがつかないことが多いのです。
真水を使うのはどうしても必要な場面だけ。
基本は「海水で洗う」「海水氷で冷やす」が鉄則です。
釣り人・飼育者ともに、この知識を意識することで魚を長く、そして美味しく・健康に保つことができます。


