カニの中でも市場や飲食店でよく耳にする「ワタリガニ」。
実は正式名称は「ガザミ」という種類のカニで、日本各地の沿岸に広く生息しています。
ではなぜ、このガザミが「ワタリガニ」と呼ばれているのでしょうか。
① 「ワタリ」の意味は「泳ぎの達人」
一般的なカニは海底を這うように歩くイメージがあります。
しかし、ガザミは一味違います。
後ろ足(第5脚)が平たい「櫂(かい)」のような形をしており、これを大きく動かすことで水中をスイスイと泳ぐことができるのです。
この特有の遊泳能力から、「渡る(ワタル)=泳ぐ」と連想され、「ワタリガニ」という呼び名が付けられました。
実際に海中では驚くほど俊敏に移動し、エサを求めて活発に行動します。
② 季節ごとの「渡り」も関係している
ワタリガニは季節ごとに広い範囲を移動する習性を持っています。
例えば、夏から秋にかけては沿岸の浅場に近づき、冬場は深場に下がるなど、生活環境をダイナミックに変えるのです。
この「回遊性」「移動性」も「渡り=ワタリ」という言葉につながり、「ワタリガニ」の名前の由来の一つとされています。
③ ガザミ=標準和名、ワタリガニ=通称
図鑑や研究の世界では「ガザミ」という標準和名が使われます。
一方で、市場や飲食店では圧倒的に「ワタリガニ」という呼び方が定着しています。
その理由はシンプルで、特徴的な「泳ぎ(渡り)」を一言で表しているからです。
また、ガザミは味噌が濃厚で身が甘く、特に秋から冬にかけて美味しいことから、食用として人気が高く「ワタリガニ」という名前がより親しまれてきました。
④ まとめ:泳ぎと移動から来た名前
・ガザミは後ろ足が櫂状になっていて、泳ぎが得意。
・季節ごとに広い範囲を移動(渡り)する習性がある。
・標準和名は「ガザミ」だが、市場では「ワタリガニ」と呼ばれている。
このように、ガザミが「ワタリガニ」と呼ばれる理由は「泳ぐ能力」と「移動性」に由来しています。
呼び名の背景を知ると、食卓に並ぶワタリガニがさらに身近に感じられるのではないでしょうか。


