クサヤと聞けば、多くの人がまず思い浮かべるのは「強烈な匂い」ではないでしょうか。
初めて嗅いだ人は思わず顔をしかめるほど独特ですが、好きな人にとってはクセになる味と香り。
この記事では クサヤの匂いがなぜ強烈なのか を、発酵学や魚の成分の観点から詳しく解説します。
① クサヤとは?
・伊豆諸島などで伝統的に作られている干物。
・魚を「クサヤ汁」と呼ばれる発酵液に漬け込み、天日干しして作られる。
・ムロアジ、トビウオ、サバなどが主な原料。
この「クサヤ汁」が匂いの最大の原因であり、数百年にわたり継ぎ足しながら使われているため、独自の発酵微生物が豊富に含まれています。
② 匂いの正体は「揮発性アミン類」
魚が発酵する過程で、タンパク質が分解されて 揮発性アミン類 という物質が生成されます。
代表的なのは以下の成分です。
・トリメチルアミン(TMA):魚臭さの代表格。
・アンモニア:ツンとくる刺激臭。
・インドール・スカトール:強烈で独特な臭いを持つ有機物。
これらが複合的に混ざり合い、「鼻に突き刺さる強烈な匂い」になります。
③ なぜクサヤ汁は強烈に臭うのか?
クサヤ汁は単なる塩水ではなく、長年継ぎ足し続けられた「発酵液」。
乳酸菌や酵母、好塩性細菌が共存しており、魚の分解物と反応して独特の香りを生み出します。
・雑菌が繁殖するのではなく、特定の菌だけが優勢になる独自の発酵環境。
・同じ菌が長年受け継がれるため、家庭や地域ごとに匂いが微妙に異なる。
・一度嗅いだら忘れられない強烈さを持つのは、この「複雑な発酵臭」のため。
④ 強烈な匂い=旨味の証拠
実は、この匂いの元となるアミン類や有機酸は「旨味」にも直結しています。
・イノシン酸やアミノ酸が豊富に生成される。
・発酵によりタンパク質が分解され、消化吸収が良くなる。
・焼くことで匂いが和らぎ、旨味が凝縮して食べやすくなる。
つまり「匂いと旨味は表裏一体」であり、クサヤの美味しさはこの発酵臭に支えられているのです。
⑤ 匂いが嫌われる一方で愛される理由
・嫌われる理由:強烈な臭気のため、電車やホテルへの持ち込みが制限されることもある。
・愛される理由:一度食べると独特の旨味がクセになり、他の干物にはない深みが味わえる。
特に酒の肴としては最高で、「日本の珍味文化」を象徴する存在です。


