「腸炎ビブリオ」と聞くと、夏の生魚や刺身が原因になる細菌として有名です。
しかし、実際には日本の海水そのものに存在し、季節や水温によって濃度が大きく変化します。
今回は、釣り人・漁業者・調理に関わる方が知っておくべき、日本沿岸の腸炎ビブリオ濃度の季節変化をわかりやすく解説します。
1. 腸炎ビブリオはどんな菌?
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好塩菌(塩分を好む細菌)で、海水や汽水域に自然生息
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**水温20〜37℃**で活発に増殖
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塩分濃度2〜3%の環境で繁殖しやすい
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主な感染経路は生魚や魚介類の生食、汚染調理器具の使用
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潜伏期間は数時間〜1日、症状は下痢・腹痛・発熱・吐き気など
2. 日本沿岸における季節別の濃度イメージ
【冬】
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水温が低く、活動はほぼ停止
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海水1リットルあたりほぼゼロ〜ごくわずか
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感染リスクは低いが完全ゼロではない
【春〜初夏】
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水温が20℃近くで活動開始
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海水1リットルあたり数十〜数百個存在するケースも
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この時期から徐々に食中毒リスクが高まり始める
【真夏(7〜9月)】
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水温25〜30℃で爆発的増殖
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海水1リットルあたり数千〜数万個に達することも
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漁港内・河口付近は栄養豊富で特に高濃度になりやすい
【秋】
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水温低下とともに減少
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20℃以上であれば活動は継続し、リスクは残る
3. なぜ夏場は危険なのか?
腸炎ビブリオは暖かくて塩分がある環境で急増します。
夏の沿岸部は条件が完全にそろい、さらに漁港や河口は栄養塩が豊富なため、菌の増殖速度が加速します。
そのため、釣り場や市場の海水を使った魚の洗浄・血抜きは、菌を減らすどころか増やしてしまうことがあります。
4. 釣り人・調理人がやるべき対策
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真水での洗浄
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腸炎ビブリオは真水で死滅しやすいため、調理前にしっかり真水で洗う
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低温管理
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氷や海水氷で即座に冷却し、菌の増殖を抑える
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器具の衛生管理
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包丁やまな板を真水洗浄し、可能なら熱湯消毒
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夏場の生食は注意
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特に小さなお子様や高齢者は加熱調理を推奨
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5. まとめ
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腸炎ビブリオは日本の海に普通に存在
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季節や水温によって濃度が大きく変動
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夏場(7〜9月)は数千〜数万個/Lに達し、食中毒リスクが最も高い
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安全確保には真水洗浄+低温管理が必須
釣りや魚の調理に慣れている方ほど「新鮮だから大丈夫」と思い込みがちですが、見た目の鮮度と細菌の有無は別問題です。
特に夏場は、魚の取り扱いと洗浄方法を見直し、腸炎ビブリオのリスクを最小限に抑えましょう。


