和歌山県南紀地方では、茶粥のことを親しみを込めて**「おかいさん」**と呼びます。
かつてはどの家庭でも日常的に食べられ、特に朝食の定番として親しまれてきました。
この記事では、南紀地方に根付く茶粥文化の歴史や背景をご紹介します。
■ 茶粥(おかいさん)とは?
茶粥は、ほうじ茶や番茶でご飯を煮た粥料理です。
南紀地方では水ではなくお茶で炊くのが一般的で、香ばしい香りとさっぱりした口当たりが特徴。
塩や漬物、梅干しと一緒に食べられることが多く、胃にやさしく消化も良いため、子どもからお年寄りまで幅広く愛されてきました。
■ 「おかいさん」という呼び方
南紀地方では、茶粥を「おかいさん」と呼びます。
この呼び名は古くからの方言で、親しみを込めた柔らかい響きが特徴です。
食卓で「今日はおかいさんやで」と声がかかると、家族全員が自然と集まる——そんな光景が日常にありました。
■ 茶粥が朝食に広まった理由
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米の節約
昔は米が貴重で、粥にすることで少量の米でも満足感を得られました。 -
保存食との相性
漬物や梅干し、佃煮など、保存の効くおかずと組み合わせやすく、忙しい朝にぴったりでした。 -
暑い南紀の気候
夏場でも温かいお茶で炊くことで食欲が湧きやすく、朝のエネルギー補給に適していました。
■ 歴史的背景
茶粥の起源は奈良時代にまで遡ります。
奈良県や和歌山県を中心に、ほうじ茶や番茶で米を炊く食文化が広がりました。
南紀地方では江戸時代から明治期にかけて庶民の朝食として定着し、戦後もしばらくは毎日のように食べられていました。
昭和中期までは、かまどで煮る「おかいさん」の香りが朝の風景の一部だったといいます。
■ 現代の茶粥文化
近年では毎日の食卓から姿を消しつつありますが、南紀地方では今もお盆や正月、地域の集まりなどで振る舞われることがあります。
観光地の旅館や食堂でも、郷土料理として提供されることが増えており、「懐かしい味」として再評価されています。
■ まとめ
茶粥(おかいさん)は、南紀地方の生活に根付いた素朴で温かい食文化です。
米の節約や保存食との相性、地域の気候に合った料理として、長年にわたって愛されてきました。
現代では郷土料理として残りつつあり、旅行や帰省の際にぜひ味わいたい一品です。
お茶の香りとやさしい口当たりは、きっと昔ながらの南紀の朝を感じさせてくれるでしょう。


