ケンサキイカは、日本各地で人気の高い高級イカで、南紀地方などでは「アカイカ」と呼ばれることが多いです。
しかし、同じケンサキイカでも白っぽい個体と赤い個体が存在し、この違いには科学的な理由があります。
本記事では、ケンサキイカが赤色を帯びる秘密と、その生態・鮮度との関係を詳しく解説します。
1. ケンサキイカの体色の基本構造
ケンサキイカの体表には、「色素胞(しきそほう)」と呼ばれる特殊な細胞が存在します。
この色素胞には3種類あり、光の反射や吸収によって体色が変化します。
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クロマトフォア:赤・茶・黄の色素を持つ細胞
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イリドフォア:光を反射し銀色・青色を演出
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ルコフォア:白色の反射を担う細胞
ケンサキイカが赤く見えるのは、この中でも赤色系のクロマトフォアが活発に働いている状態だからです。
2. ケンサキイカが赤色になる主な理由
① 興奮やストレスによる色素活性化
釣り上げられた直後のケンサキイカは、捕獲のストレスで色素胞が収縮し、赤色が濃くなります。
これは防御反応の一種で、外敵から身を隠すために体色を濃くする現象です。
② 鮮度の良さを示す「赤色発色」
市場では、ケンサキイカが赤みを帯びているほど鮮度が高い証拠とされています。
時間が経つと、色素胞の活動が止まり、徐々に白っぽく変化します。
釣りたてのケンサキイカは赤く美しい見た目をしており、これが「アカイカ」と呼ばれる大きな理由です。
③ 個体差や海域による色の違い
同じケンサキイカでも、海域や個体によって色の濃さが異なります。
外洋系のケンサキイカは赤みが強いことが多く、内湾系は比較的薄めの色をしています。
3. 「アカイカ」という呼び名が生まれた背景
南紀地方や四国、九州の一部では、ケンサキイカを「アカイカ」と呼ぶ文化があります。
これは、釣りたてで赤色が強く発色するケンサキイカが多く水揚げされる地域特有の呼称です。
一方、山陰地方では同じケンサキイカを「シロイカ」と呼びます。
これは、陸揚げ後に色が白くなる個体が多いためです。
つまり、「アカイカ」と「シロイカ」は同種で、地域と鮮度の違いによる呼び名の差です。
4. 赤色と美味しさの関係
赤色は主に鮮度の指標ですが、次のような関係もあります。
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赤色が強い=新鮮で甘みが強く、刺身に最適
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白く変色=時間が経過しており、加熱調理向き
特に南紀地方の釣り人や漁師は、赤く輝くケンサキイカを「極上品」として扱っています。
5. まとめ
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ケンサキイカが赤いのは、色素胞の働きによるもの。
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釣り上げ直後や鮮度が高いほど赤色が強く、これが「アカイカ」と呼ばれる理由。
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地域によっては「シロイカ」とも呼ばれ、同じ種類でも呼び名が異なる。
南紀で釣れる赤いケンサキイカは、まさに新鮮さの証。
釣りたてを刺身で味わえば、甘みと食感の良さを存分に楽しめます。


