釣行を終えたあと、竿やリールに真水をぶっかけて終わりにしていませんか?
それ、“最低限”のメンテナンスではありますが、実は塩害によるサビや劣化は進行している可能性があります。
今回は「ぬるま湯で洗うのは効果的なのか?」「温度は何度がベストなのか?」というテーマで、
初心者からベテランまで役立つ“釣具洗浄の最適解”を、プロの視点から詳しく解説します。
■ なぜ釣行後の洗浄が重要なのか?
海釣りでは海水に含まれる塩分が、釣具に大きなダメージを与えます。
特にリール内部やガイド周りに付着した塩分は、放置すると以下のようなトラブルを引き起こします。
・リールの巻きが重くなる
・ドラグ音やクリック音が鳴らなくなる
・竿のガイドが腐食して糸を傷める
・ボディの金属部がサビる、変色する
これらはすべて“塩害”が原因です。つまり、「塩を残さないこと」が最重要なのです。
■ 真水でぶっかけるだけでは足りない?
「帰宅後に水道水をかけるだけで十分」という方も多いでしょう。
確かにこれでも表面の塩分は流せます。
しかし、問題は…
・リールの内部
・竿のガイドとスレッドの隙間
・ボディの溝やビス周辺
こうした細部に残った塩分が固まって腐食の原因になります。
特に夏場は乾燥が早いため、塩がすぐに結晶化し内部に残るリスクが高いです。
■ では「ぬるま湯」は有効か?
結論から言うと、ぬるま湯は非常に有効です。
理由は以下の3つ。
① 塩がより早く溶ける
塩分は温度が高い水ほど溶けやすくなります。
真水よりぬるま湯の方が、細部の結晶化した塩を効率よく溶かして除去できます。
② 油汚れも落ちやすい
釣り場には魚の脂やエサの成分も付きます。
これらは冷水では落ちにくい汚れ。ぬるま湯なら軽い油分も流せるため、より清潔に保てます。
③ 結露や温度差によるダメージが出にくい
冬の冷水で一気に冷やすと、リール内部に結露が発生しやすくなります。
ぬるま湯なら温度差によるトラブルを避けられます。
■ 最適な温度は「35~40℃」
気になる“ぬるま湯の温度”ですが、推奨は35~40℃程度。
これは、人肌よりやや温かい程度が目安です。
・50℃を超えると、グリスやオイルが溶けてしまう可能性あり
・30℃以下では塩の溶解力が弱くなる
そのため、「お風呂のシャワーでややぬるめ」くらいが最適です。
台所の給湯器でも調整しやすい温度帯なので、実践しやすい点もメリットです。
■ 洗い方のコツ:ぶっかけ→拭き取り→陰干し
ぬるま湯を使った洗浄は、以下の流れがおすすめです。
1.シャワーなどで、リール・竿全体を優しくかけ流す
→強すぎる水圧はNG。リール内部に水が侵入するリスクあり。
2.ガイドやリールの隙間に指やスポンジで軽くなでるように洗浄
→ブラシは硬すぎると塗装が剥がれる恐れあり。
3.水気をしっかり拭き取る(特に可動部・ネジまわり)
→タオルやティッシュで丁寧に拭き取る。
4.日陰・風通しの良い場所で完全乾燥させる
→直射日光は避ける。グリス劣化や変色の原因になります。
■ 洗浄後のケアも忘れずに
乾いた後は、専用のリールオイルやグリスで可動部に注油しておきましょう。
これにより、防錆・滑り・耐久性がアップします。
特に以下のポイントは重点ケアをおすすめします。
・リールのハンドル根元
・ドラグノブまわり
・ベールの可動部
市販の「リールメンテスプレー」なども活用すると便利です。
■ 釣具を長持ちさせたいなら“ぬるま湯洗浄”が基本!
竿とリールの寿命は、使い方より“洗い方”で決まるといっても過言ではありません。
「ぬるま湯で丁寧に流す」たったそれだけで、サビ・腐食・固着の予防効果は劇的にアップします。
釣り道具は高価なものも多く、愛着が湧きますよね。
大切に使い続けるためにも、ぜひ「ぬるま湯洗浄」を習慣化してみてください。
■ まとめ
・釣行後の塩害対策に「ぬるま湯」は有効
・最適温度は「35~40℃」でOK
・リール内部やガイドの隙間も丁寧に流すこと
・乾燥後は注油して長寿命化を目指す
「真水ぶっかけ」から「ぬるま湯洗浄」に変えるだけで、道具の寿命と快適さが段違いになります。


