スーパーで売られているタコ。
ラベルには「地ダコ」「明石産」「国産」などと書かれているものもあれば、「モーリタニア産」「アフリカ産」などの輸入マダコも並んでいます。
一見どちらも「マダコ」と表記されますが、実際には味・食感・漁法・鮮度・価格まで大きく異なります。
なぜ同じ「マダコ」でも、ここまで違いが出るのか?
今回はその理由を徹底解説します。
そもそも「マダコ」とは?
・和名:マダコ
・学名:Octopus vulgaris
・生息域:全世界の温暖な沿岸域
・主な漁獲方法:タコ壺、底曳網、流し網、釣り
マダコは非常に広く分布しており、日本沿岸はもちろん、アフリカ西岸・南米・東南アジアなど世界中で漁獲されています。
つまり同じマダコでも育つ海域が全く違うのです。
ここが品質の違いに直結しています。
「地ダコ」とは?
日本近海で水揚げされたマダコを一般的に「地ダコ」と呼びます。
特に明石・瀬戸内・紀伊水道・九州・三重などが有名産地。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 生息環境 | 瀬戸内海・紀伊半島・九州沿岸など潮流の激しい海域 |
| 捕獲方法 | 主にタコ壺漁・一本釣り・定置網 |
| 鮮度 | 活ダコ・活〆で流通 |
| 色合い | 茹でると深い赤色 |
| 食感 | 強い弾力・歯ごたえ抜群 |
| 味わい | 濃厚な甘み・旨味成分が多い |
| 価格帯 | 高級品(1kgあたり3000〜6000円前後) |
日本の「地ダコ」は潮流の激しい岩礁帯で育つため、筋肉質で足も太く引き締まっています。
水温差・潮流・エサ環境が最高のコンディションを生み出します。
「輸入マダコ」とは?
多くはモーリタニア(西アフリカ)産が占め、その他にもモロッコ・セネガル・南アフリカ・ベトナム・インドネシア産などもあります。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 生息環境 | 比較的穏やかな大西洋・アフリカ沿岸 |
| 捕獲方法 | 底曳網・流し網中心 |
| 鮮度 | 凍結流通(船上冷凍) |
| 色合い | 茹でても薄い赤〜オレンジ色 |
| 食感 | 柔らかめ・弾力やや弱い |
| 味わい | 甘み・旨味は薄め |
| 価格帯 | 安価(1kgあたり1000〜2000円前後) |
漁獲後すぐ船上で凍結されるため、大量輸出が可能です。
そのぶん、日本の「地ダコ」とは身質・味わいが大きく異なります。
「地ダコ」と「輸入マダコ」の違いまとめ表
| 比較項目 | 地ダコ | 輸入マダコ |
|---|---|---|
| 産地 | 日本沿岸(明石・瀬戸内など) | モーリタニア・アフリカ諸国 |
| 水揚げ方法 | 壺漁・釣り中心 | 底曳網中心 |
| 鮮度 | 活ダコ流通 | 冷凍品中心 |
| 食感 | 歯ごたえ抜群 | 柔らかめ |
| 味 | 濃厚な旨味 | あっさり |
| 茹で色 | 濃い赤色 | 薄い赤〜オレンジ色 |
| 価格 | 高級 | 安価 |
食べ比べると全く違う!
地ダコを食べたとき
・しっかりした歯ごたえ
・噛むほどに甘みと旨味が口の中に広がる
・たこ焼き、酢の物、刺身、煮付けどれでも絶品
輸入マダコを食べたとき
・柔らかくて食べやすい
・歯ごたえはやや弱い
・しゃぶしゃぶ、カルパッチョ、冷製サラダなどには向く
※料理法によっては、輸入マダコでも十分美味しくいただけます。
ただし、「たこ焼き」にするなら地ダコ一択という料理人が多いのも事実です。
地ダコが高い理由は?
① 獲れる量が少ない
日本近海のマダコ資源は年々減少傾向。
特に明石海峡などは漁獲制限が厳しくなってきています。
② 手間のかかる漁法
壺漁や一本釣りは時間と手間がかかる伝統漁法。
そのぶん高品質の個体を選別して出荷できます。
③ 輸送コストの違い
活ダコ輸送や活〆流通はコストが高くつきます。
輸入は船上冷凍→冷凍輸送でコスト低減が可能。
④ ブランド価値
明石ダコ・瀬戸内産などブランド力が非常に高い。
高級寿司店・料亭でも「国産地ダコ」を指定するほど。
スーパーの「原産地表示」チェックが重要
スーパーでは以下のように記載されています。
・原産地:兵庫県明石市 → 地ダコ
・原産地:モーリタニア → 輸入マダコ
最近では冷凍輸入でも「下処理済」「茹で済」品が多いため、表示をしっかり確認することが重要です。
値段が2倍〜3倍違うことも珍しくありません。
釣り人目線で見る「地ダコ」の魅力
釣り好きの人なら地ダコの価値はさらに実感できます。
・テンヤ釣りやタコエギでの力強い引き
・岩礁帯を狙うスリル感
・釣った直後の活ダコの新鮮さと旨さ
釣りたてを刺身・しゃぶしゃぶで食べる地ダコはまさに別格です。
まとめ:同じ「マダコ」でも全く違う理由
・「地ダコ」は日本近海の潮流・エサ環境が生んだ高品質食材
・「輸入マダコ」は安価で流通安定、柔らかさが特徴
・水揚げ方法・鮮度・漁法の違いが品質差を生む
・料理によって使い分けるのが賢い買い方
タコ刺身。
左が地ダコ、右はモロッコからの輸入品。食べ比べ。
地ダコのほうが皮の色合いが濃く、歯ごたえとうま味が強い。


