「食中毒」と「食あたり」、この二つの言葉、皆さんはどう使い分けていますか?
「なんとなく同じようなもの」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、実はこの二つの言葉には明確な違いがあるのでしょうか?
それとも、同じことを指しているのでしょうか?
この記事では、食中毒と食あたりの関係性について、医学的な見地も踏まえながら詳しく解説します。
さらに、それぞれの原因や症状、そして最も重要な予防策についてもご紹介。
これを読めば、あなたの食に関する知識がアップデートされ、より安全で快適な食生活を送るためのヒントが見つかるはずです。
食中毒と食あたり、結局のところ同じ?違う?
結論から言うと、「食中毒」と「食あたり」は、ほぼ同じ意味で使われます。
医学的には「食中毒」が正式な用語であり、「食あたり」は一般的に使われる俗称と言えるでしょう。
「食中毒」という言葉に含まれる「中」は、「あたる」という意味合いを持ちます。
つまり、「食べ物の毒にあたること」を指し、これが「食あたり」という表現につながっています。
ただし、厳密に区別するとすれば、以下のようなニュアンスの違いがある場合もあります。
- 食中毒: 食品に含まれる細菌、ウイルス、毒素、化学物質、自然毒(フグ毒、きのこ毒など)によって引き起こされる健康被害の総称。原因が特定され、より医学的・公衆衛生的な意味合いが強い。
- 食あたり: 食べ物が原因で体調を崩した際に、もう少し軽いニュアンスで使われることがある。原因が特定されていなくても、単に「お腹を壊した」という状況で使われる場合もある。
しかし、多くの場合、どちらの言葉も同じような症状(下痢、嘔吐、腹痛、発熱など)を伴う、食品が原因の体調不良を指します。
食中毒(食あたり)の原因と症状
食中毒(食あたり)を引き起こす原因は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
1. 細菌性食中毒
夏場に特に多いのが細菌性食中毒です。細菌が増殖しやすい高温多湿な環境が原因となります。
主な原因菌と症状の例:
- サルモネラ菌: 鶏肉、卵などが原因。激しい腹痛、下痢、高熱(38℃前後)が特徴。
- 腸炎ビブリオ菌: 魚介類が原因。激しい腹痛、下痢、嘔吐、発熱。
- カンピロバクター: 生肉(鶏肉など)が原因。発熱、下痢、腹痛、倦怠感。潜伏期間が比較的長い(2~7日)。
- 黄色ブドウ球菌: おにぎりなど、手作業で調理された食品が原因。菌が作る毒素が原因で、吐き気、嘔吐、腹痛が短時間で現れる。熱に強い毒素のため、加熱しても防げない場合がある。
- ウェルシュ菌: カレーや煮物など、大量に調理された食品が原因。下痢、腹痛。
2. ウイルス性食中毒
冬場に流行しやすいのがウイルス性食中毒です。
主な原因ウイルスと症状の例:
- ノロウイルス: カキなどの二枚貝や、感染者の便・嘔吐物から広がる。吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱(軽度)。感染力が非常に強く、人から人への二次感染も起こりやすい。
3. 自然毒・化学物質による食中毒
細菌やウイルスだけでなく、自然界に存在する毒や化学物質も食中毒の原因になります。
主な原因と症状の例:
- 自然毒:
- フグ毒: フグの肝臓や卵巣に含まれる猛毒。しびれ、麻痺、呼吸困難などを引き起こし、死に至ることもある。
- 毒キノコ: 食用キノコと間違えやすい。種類によって症状は様々で、幻覚、消化器症状、神経症状など。
- ジャガイモの芽(ソラニン): ジャガイモの芽や緑化した部分に含まれる。吐き気、嘔吐、腹痛、めまい。
- 化学物質:
- 洗剤、農薬などが食品に混入した場合。
食中毒(食あたり)になったらどうする?
食中毒(食あたり)の症状が出たら、自己判断せず、まずは医療機関を受診しましょう。特に以下のような場合は、すぐに受診してください。
- 症状が重い(激しい下痢や嘔吐が続く、血便、高熱など)
- 乳幼児や高齢者、妊婦、基礎疾患のある方
- 脱水症状の兆候がある(口の渇き、尿量の減少、意識の低下など)
医療機関を受診する際は、食べたものやいつから症状が出たかを正確に伝えられるようにメモしておくと良いでしょう。
自宅での対処法:
- 水分補給: 脱水症状を防ぐため、経口補水液やスポーツドリンクなどでこまめに水分を補給しましょう。
- 安静: 体力を消耗しないよう、安静に過ごしましょう。
- 食事: 症状が落ち着いてきたら、消化の良いもの(おかゆ、うどんなど)を少量ずつ摂りましょう。
注意点:
- 自己判断で下痢止め薬を服用しない: 下痢は体内の毒素や菌を排出する防御反応です。むやみに下痢を止めると、かえって症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性があります。
食中毒(食あたり)を予防する3つの原則
食中毒(食あたり)は、日々の心がけでほとんどの場合予防できます。大切なのは以下の「食中毒予防の3原則」です。
1. 菌を「つけない」
- 手洗いの徹底: 調理前、食事前、トイレの後、生肉や魚を扱った後など、石鹸を使って丁寧に手を洗いましょう。
- 食材の使い分け: 生肉や魚を扱った包丁、まな板、食器などは、使用後すぐに洗浄・消毒し、他の食材と使い分けましょう。
- 食材の分別: 冷蔵庫で保存する際も、肉や魚の汁が他の食品に付着しないよう、密閉容器に入れたり、下段に置いたりして区別しましょう。
2. 菌を「増やさない」
- 迅速な調理: 食材の購入後はできるだけ早く調理し、常温に放置しないようにしましょう。
- 適切な温度管理:
- 冷蔵: 冷蔵庫は10℃以下に保ち、食品を詰め込みすぎないようにしましょう。
- 冷凍: 冷凍庫は-15℃以下に保ちましょう。ただし、冷凍しても菌が死滅するわけではなく、増殖が一時停止するだけなので、解凍後はすぐに調理しましょう。
- 調理後の保存: 調理した食品は、できるだけ早く食べきるか、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
- 解凍方法: 冷凍食品の解凍は、冷蔵庫内や電子レンジで行い、室温での自然解凍は避けましょう。
3. 菌を「やっつける」
- 十分な加熱: 食材の中心部まで十分に加熱しましょう。目安は75℃以上で1分以上(ノロウイルスは85℃以上で1分半以上)です。特に肉類や魚介類は、生食を避け、しっかり加熱してください。
- 器具の消毒: 包丁、まな板などの調理器具は、使用後に熱湯消毒や塩素系漂白剤などで殺菌しましょう。
まとめ:安全な食生活のために知っておきたいこと
「食中毒」と「食あたり」は、医学用語か一般用語かの違いはあれど、食品が原因で起こる体調不良を指す言葉として、同じ意味合いで使われていることがお分かりいただけたでしょうか。
重要なのは、呼び方がどうであれ、これらの不調を防ぐための知識と行動です。
手洗いの徹底、食材の適切な管理、そして十分な加熱。
これら「食中毒予防の3原則」を日々の食生活に取り入れることで、あなた自身だけでなく、大切な家族の健康も守ることができます。
もし体調に異変を感じたら、迷わず医療機関を受診し、適切な処置を受けるようにしましょう。


