「冬の魚は脂がのって美味しい」
「夏の魚は味が落ちる、臭いも気になる」
そんな話を聞いたことがありませんか?
釣り人や料理人の間ではもはや常識とも言えるこの知識。
でも、なぜ水温が下がると魚は美味しくなるのか?
そして逆に、水温が上がるとどうして臭くなるのか?
その仕組みをきちんと理解することで、
釣りのシーズン選びや、買う魚の見極め、調理方法にも差が出ます。
この記事では、
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水温と魚の脂のりの関係
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水温上昇による味・臭いの変化
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臭みを軽減する保存や調理法
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美味しくなる代表魚種と旬の見分け方
──を科学的かつ実践的に分かりやすく解説します。
1. 水温が下がると魚はなぜ美味しくなる?
●理由①:冬に備えて“脂を蓄える”生理的変化
魚は外気温と同じく、水温によって体温や代謝が変化する変温動物です。
気温が下がり、水温が低下する秋〜冬にかけて、
魚たちは寒さや産卵、越冬に備えて体内にエネルギー源(脂肪)を蓄える性質があります。
これがいわゆる
「脂がのる」=身に脂肪がしっかり入る
という状態。
●理由②:運動量の低下で筋肉がやわらかくなる
水温が低いと、魚の活動量も落ちます。
結果として筋肉(身)の締まりがやわらかく、口当たりもまろやかに。
さらに血流も緩やかになるため、
ドリップや血の臭いも出にくく、雑味の少ない味わいが楽しめます。
2. 水温が上がると味が落ち、臭いが出る理由とは?
●理由①:代謝が上がり、脂を消費してしまう
夏になると、水温の上昇にともない魚の代謝が上がります。
そのため、体に蓄えた脂肪を消費してしまい、身がパサつきがちに。
同じ魚でも、
「冬場のサバ」と「真夏のサバ」では脂の量も旨味もまったく違うのです。
●理由②:細菌や酸化のスピードが早まる
高水温は雑菌の繁殖や酸化を促進させるため、
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生臭さ
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血や脂の酸化臭
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アミン系の臭い(いわゆる“魚臭さ”)
──が出やすくなります。
特に足の早い青魚(アジ・サバ・イワシ)は、
夏場になると臭みやすい=調理に工夫が必要です。
3. 臭いを防ぐにはどうすればいい?
●釣った直後にすべきこと
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血抜き:臭いの元になる血液をしっかり抜く
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氷締め(海水氷):真水よりも魚に優しく、鮮度が落ちにくい
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早めに内臓を処理:腐敗の進行源を断つ
●保存・調理のポイント
| 方法 | 効果 |
|---|---|
| 昆布締め | 余分な水分と臭いを吸収、旨味UP |
| 酢締め(しめさばなど) | 酸で臭み成分を分解 |
| 湯引き | 表皮の脂と臭い成分を除去 |
| 一夜干し | 身の旨味を凝縮し、臭いが減少 |
水温が高い季節ほど、処理の丁寧さが“味の差”になります。
4. 水温別:美味しくなる代表魚と旬
| 魚種 | 脂がのる時期 | 水温目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| サバ | 秋〜冬(10〜2月) | 18℃以下 | 秋サバは特に絶品。夏は臭み注意 |
| ブリ(ハマチ) | 冬(12〜2月) | 16℃前後 | 脂のりNo.1、寒ブリが最高峰 |
| ヒラメ | 秋〜春(10〜4月) | 15〜18℃ | 寒いほど旨味が増す白身魚 |
| サンマ | 秋(9〜11月) | 20℃前後 | 水温と餌の影響で脂のりが変化 |
| アジ | 通年だが初夏〜初秋はやや臭みが出る | 22℃以上で注意 | 夏場は酢や焼き物で処理を |
5. まとめ|水温を知ることは、“美味しい魚”を知ること
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水温が下がると、魚は脂を蓄えて美味しくなる
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水温が上がると、代謝と劣化が進み、臭みが出やすくなる
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釣る・選ぶ・食べる前に、“水温”を意識することが大事
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臭みを減らす工夫次第で、夏の魚も美味しくなる!
気象アプリや釣果情報で「水温」をチェックする癖をつければ、
“今が一番おいしい魚”を選ぶ目が養われます。
「脂がのる=水温が下がる」──
この鉄則を覚えておくだけで、食卓も釣果もワンランクアップしますよ!


