「これ、トコブシだよね?いや、ナガレコって聞いたことあるけど?」
釣り場や市場でよく交わされるこんな会話。
実はこれ、どちらも正解なんです。
でも、なぜ同じ貝に二つも名前があるのか?
この記事では、そのややこしさの理由と背景を、食文化・地域性・分類学の観点からわかりやすく解説します。
◆ トコブシとナガレコは同じ貝!?
まず結論から。
**トコブシとナガレコは、同じ貝(学名:Sulculus diversicolor supertexta)**を指します。
| 呼び名 | 意味・使われ方 |
|---|---|
| トコブシ | 標準和名。学術的にもこちらが正式名称 |
| ナガレコ | 主に関西・紀伊半島〜西日本の地方名で呼ばれる |
つまり「ナガレコ=地方名」「トコブシ=正式名」であり、呼び名が異なるだけで別の貝ではありません。
◆ ややこしく感じる3つの理由
① 地域によって「呼び名」がまったく違う
・関東 →「トコブシ」
・関西 →「ナガレコ」「フクダメ」
・九州 →「ナガレコ」「アワビモドキ」
地方によって呼称が異なり、標準語での統一感がないことが混乱のもと。
② アワビとの見た目がそっくり!
・トコブシ(ナガレコ)はアワビと形が非常によく似ている巻貝。
・殻の孔(あな)の数や身の大きさが違うだけで、一般人には見分けがつきにくい。
・さらに、「小さいアワビ」だと誤認されていることも。
③ 市場や飲食店でも名称が統一されていない
・居酒屋で「トコブシの煮付け」と出てくるが、仕入れ先では「ナガレコ」と呼ばれていたり。
・スーパーのラベルが「ナガレコ(トコブシ)」と併記されていたり。
・名称の使い分けに一貫性がなく、消費者を混乱させている。
◆ トコブシとアワビの違いは?
| 項目 | トコブシ(ナガレコ) | アワビ |
|---|---|---|
| サイズ | 5~7cm程度 | 15~20cmと大型 |
| 殻の穴 | 穴が貫通している(通気用) | 穴が塞がっていることが多い |
| 価格 | 比較的安価 | 高級品として扱われる |
| 食感 | やや柔らかく甘みあり | 肉厚で弾力が強い |
トコブシはアワビに比べて小ぶりで柔らかく、煮付けや炊き込みご飯に最適。
サイズ感や価格からも、**気軽に楽しめる“庶民派アワビ”**と言えます。
◆ トコブシ(ナガレコ)の旬と味わい
・旬は初夏~夏(5〜8月)。
・身がふっくらして、ほんのりとした磯の香りと優しい甘みが特徴。
・煮付け、酒蒸し、バター焼き、炊き込みご飯など、幅広い調理に使えます。
◆ まとめ|「ナガレコ=トコブシ」と覚えてOK!
「ナガレコ」と「トコブシ」は呼び名の違いだけで、同じ巻貝。
ただし、呼称の混在やアワビとの見た目の類似で、非常にややこしいのが実情です。
釣り人・料理人・魚屋・飲食店、それぞれの立場で使い分けが違うことも、混乱の要因。
覚えておきたいのは、
「ナガレコって呼ばれていても、それはトコブシ」
ということ。


