■ それは、ある朝の浜辺にあった。
波打ち際にポツンと転がっていた、一つのエギ。
ボディはすでに砂にまみれ、フックには絡まったラインがぐしゃぐしゃに残っていた。
――これは、誰かの釣りの記憶だ。
■ 一投にかけた情熱の名残
このエギも、かつては誰かの“信頼の一本”だったはず。
水面を割るようにキャストされ、シャクリとともにリズムよく踊ったその瞬間、
釣り人の心は高鳴っていたはずだ。
ひょっとすると、あの日は爆風だったのかもしれない。
あるいは根掛かりに無念のラインブレイクだったのかもしれない。
だけど確かに、このエギは海に命を吹き込まれていた。
■ 捨てられたのではない、託されたのだ
絡んだ糸は、闘った証。
ボロボロの羽根は、海中でイカを誘い続けた勲章。
割れた背中は、岩場に挑んだ者の誇り。
釣り人にとってエギとは、単なる道具じゃない。
それは**海とつながる“想い”**だ。
■ 浜に打ち上げられたエギは、語りかけてくる
「今日もシャクれよ」
「また会おうぜ、あの潮目で」
「今度こそ、3キロを掛けろよ」
釣り場を後にした誰かの言葉が、潮に乗って砂浜へと届いたのかもしれない。
■ あなたも、海に想いを残していませんか?
このエギが語る物語は、誰か一人だけのものじゃない。
エギンガーなら誰しもが、きっと心当たりがあるはず。
忘れられた仕掛けにも、釣り人の物語は確かに刻まれている。
🎣 次の釣行では、あの時の悔しさを超える一本を。
海は、いつでも語りかけてくる。