休日の朝、まだ人の気配もない浜辺をゆっくりと歩く。
波の音だけが、耳に心地よく響く時間。
ふと足元に目をやると、
そこには、骨だけになった小さな魚の姿。
もう身はなく、潮と風に晒され、
砂に半分埋もれながらも、しっかりとその形を残していた。
「これが、自然に還るということなんだな」
そう思いながら立ち止まる。
誰に見られるでもなく、
誰に惜しまれるでもなく、
ただ、静かに砂の中へ帰っていく命。
それは哀れでも、無残でもなく、
むしろ美しさすら感じる風景だった。
人の手で捌かれたわけでもなく、
獲物として食卓に上がることもなかったかもしれない。
でもこの魚も、生きて泳ぎ、
波と戯れ、きっと何度も空を見上げたはずだ。
今はもう、骨だけがそこにある。
けれど、それは「終わり」ではなく「巡り」の途中。
風にさらわれ、
雨に打たれ、
砂に包まれて、
またいつか、海へと還る。
そうやって、命はまた巡っていくのだ。
浜辺の散歩で、そんなことを考えながら、
次の一歩を踏み出す。
忙しない日常の中で、
こういう時間こそが、心を整えてくれる。
そして今日もまた、
海は静かに、すべてを受け入れていた。


