これは釣り人の間でもよく話題になるテーマで、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
一概に「これが原因」と断定するのは難しいのですが、有力な説をいくつかご紹介させていただきます。
1. 居着き型と回遊型の違い
最も有力な説として、生活場所の違い、つまり「居着き型」か「回遊型」かによって体色に差が出ると考えられています。
- 居着き型:磯などの特定の場所に定着している個体は、周囲の環境に溶け込むように体色が濃く、茶褐色や黒っぽい色をしていることが多いです。これは保護色としての役割を果たしていると考えられます。
- 回遊型:外洋を回遊している個体は、体色が青みがかっており、銀色に輝いていることが多いです。これは外敵から身を守るための保護色、あるいは群れの中で互いを認識しやすくするための役割があると考えられます。
この説は、実際に釣り場で観察されるグレの体色と一致するケースが多く、経験則としても広く受け入れられています。
2. 環境要因
上記に加えて、水深、水質、水温、光の当たり方などの環境要因も体色に影響を与える可能性があります。
- 水深:深い場所にいる個体は、光が届きにくいため、体色が濃くなる傾向があると言われています。
- 水質:水中のプランクトンやミネラルの量によって、体色に微妙な変化が生じる可能性があります。
- 光の当たり方:太陽光の当たり方や角度によって、体色の見え方が変わることもあります。
3. 食性
食べた餌によって体色が変わるという説もありますが、グレの場合は食性が体色に与える影響は比較的少ないと考えられています
。ただし、餌に含まれる色素が体色に影響を与える可能性は否定できません。
4. 個体差と遺伝
同じ環境にいても、個体ごとに体色に差が見られることがあります。
これは遺伝的な要因や個体の成長段階などが関係している可能性があります。
5. ストレスと体調
魚はストレスを感じたり、体調を崩したりすると、体色が変化することが知られています。
これはグレも例外ではなく、釣り上げられた直後のグレは体色が変化していることがあります。
重要な注意点
体色だけで種類(口太グレか尾長グレかなど)を判断することはできません。
体色以外の特徴(エラの縁の色、尾びれの形、鱗の大きさ、歯の形状など)と合わせて判断する必要があります。
まとめ
口太グレの体色の濃淡は、生活場所(居着き型か回遊型か)が最も大きな要因と考えられます。
その他に、環境要因、個体差、ストレスなどが複雑に絡み合って体色に変化をもたらしていると言えるでしょう。