天然クエのような大型魚について、「脂がのって最も美味なのは中型サイズ」という話は、
クエに限らず大魚に共通する傾向があります。
この理由は、脂肪分の発達状況、食性の変化、筋肉組織の状態などが関係しています。
理由1: 脂肪の発達と栄養のバランス
- 小型魚の場合
小さいうちは成長に多くのエネルギーを使うため、脂肪が蓄積されにくい傾向があります。特に幼魚期は、筋肉よりも骨や内臓が成長の優先対象です。そのため、脂の乗りが少なく、食味がやや淡白になります。 - 中型魚(20キロ前後)の場合
成長が安定し、脂肪が適度に蓄積される時期です。この時期は、筋肉に十分な脂が入り込み、旨味が増します。また、成熟期に近づくため、食性も安定し、美味しさがピークを迎えます。 - 大型魚の場合
大型になると、成長速度が落ち、エネルギーを脂肪ではなく筋肉や他の生体維持に使う傾向があります。さらに、大きくなるほど脂肪が筋肉に均一に行き渡らず、特定の部位に偏ることがあります。これが「大味」や「脂っぽすぎる」といった評価に繋がります。
理由2: 筋肉組織の変化
- 魚が大きくなるほど筋肉が硬くなる傾向があります。これは、運動量が増え、筋肉が発達するためです。大型魚ではコラーゲンが多くなるものの、繊維が硬化しやすいため、加熱すると固くなりがちです。
- 中型魚では筋肉組織がまだ柔らかく、適度な弾力と旨味が楽しめます。
理由3: 食性の変化
- 小型魚
小型の時は、プランクトンや小型の甲殻類などを主食とするため、身の風味が軽くなりがちです。 - 中型魚
甲殻類や小魚を多く食べるようになり、脂や旨味が蓄積されやすい時期です。このため、味わいが最も充実します。 - 大型魚
より大きな餌を捕食するようになると、餌の内容によって身に独特の匂いや風味がつく場合があります。特に底魚や腐敗した餌を食べることが多い場合、大味や癖が強いと感じられることがあります。
他の魚種での例
- ブリ
- 6~8キロ程度の「中間サイズ」のブリが最も美味とされる。成長しすぎると脂が重たくなり、大味になることが多い。
- マグロ
- 大型のクロマグロは部位によって脂の乗りが変わるが、20~50キロの中型サイズは赤身と脂身のバランスが良いとされる。
- ヒラメ
- 50cm前後の個体が美味とされ、大型になると身質が硬くなり、味が落ちる場合がある。
- アユ
- 大型のアユは脂がのりすぎて「青臭い」と感じられる場合があり、中型サイズが最適とされる。
結論
大魚全般に「中型サイズが最も美味」という傾向はありますが、特にその魚の成長過程、食性、
脂肪のつき方による影響が大きいです。
クエの20キロクラスが最も美味しいとされるのは、脂の乗り具合と身質のバランスが絶妙で、
成長しすぎた個体では大味になるという理由が背景にあります。


