アオリイカは「春に産卵するイカ」というイメージが、長年釣り人の間で定着してきました。

しかし近年、南紀をはじめ各地の釣果・サイズ・出現時期を見ていると、この常識は確実に崩れつつあります

現在のアオリイカは、
「春だけ産卵する生き物」ではなく、
水温条件次第で一年中どこかで産卵している存在へと変化しています。

その実態を、季節ごとの産卵率イメージとして一覧表にまとめます。


春夏秋冬で見るアオリイカの産卵率一覧表

※産卵率は「その季節に産卵行動を取る個体の割合」を、
現場釣果・サイズ構成・卵持ち個体の確認頻度から相対評価したものです。

季節 産卵率(目安) 主な産卵個体 特徴
春(3〜5月) 30〜40% 大型親イカ かつての主役だが比率は低下傾向
夏(6〜8月) 40〜50% 中型〜大型 水温安定で実は産卵が最も多い
秋(9〜11月) 20〜30% 小型〜中型 成長スピードが非常に速い
冬(12〜2月) 5〜10% 一部大型 南紀など暖水域限定

春の産卵が「確実」ではなくなった理由

かつての常識では、
「春=産卵」「春イカ=産卵個体」
とされてきました。

しかし現在は、

・春でも未成熟の大型個体が混じる
・春イカでも卵を持たないケースが増加
・夏・秋に産卵痕のある個体が頻発

といった現象が明確に見られます。

最大の要因は「水温」

アオリイカの産卵スイッチは、
季節ではなく水温で入ります。

・おおよそ 18〜23℃ が産卵適水温
・春でも水温が低い年は産卵が遅れる
・夏〜秋に長期間この水温帯が続く

結果として、
産卵時期が分散し、春一極集中が崩壊しました。


夏が「実は一番産卵している」季節

夏は「イカが釣れにくい」「春ほど価値がない」と思われがちですが、
生態的には真逆です。

・水温が安定
・藻場が豊富
・産卵床が長期間維持される

この条件が揃うため、
産卵行動そのものは夏がピークになります。

ただし、
・釣り人が暑さで減る
・夜釣り中心になる
・サイズが揃いにくい

といった理由で、
「見えにくいだけ」の季節になっています。


秋産卵が増えたことで起きている変化

秋にも産卵が行われるようになった結果、

・冬でも小型個体が残る
・春に成長途中の個体が混じる
・サイズ差が極端に広がる

という現象が起きています。

これが、
「春なのに2kgが出ない年」
「いきなり小型が湧く年」
といった違和感の正体です。


冬の産卵は「南紀など限定エリアのみ」

冬場の産卵は、
全国的にはレアケースですが、

・黒潮の影響を強く受ける地域
・水温が15℃以下に落ちにくい場所

では、
少数ながら確実に確認されています。

南紀が「冬でもアオリイカが成立する」と言われる理由も、
この生態変化にあります。


まとめ

アオリイカの産卵は、
もはや「春の風物詩」ではありません。

・春:確実ではない
・夏:実は最多
・秋:増加傾向
・冬:限定的に存在

この理解があるかどうかで、
釣り方・狙い方・シーズン評価は大きく変わります

今後のアオリイカ釣りは、
「季節を見る釣り」から
「水温と個体成熟を見る釣り」へ

この視点こそが、
これからの釣果差を生む最大のポイントです。

季節別アオリイカの産卵指数。釣太郎
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