イカ墨料理といえば、日本では沖縄のイカ墨汁や、イタリアのイカ墨パスタがよく知られています。
しかし、世界には「タコの墨」や「甲イカの墨」を使った珍しい料理も存在します。
本記事では、あまり知られていないタコ墨料理や甲イカ墨料理を中心に、世界の墨料理文化を詳しくご紹介します。
1. 墨料理の基本|なぜ墨を料理に使うのか?
1-1 墨の持つうま味成分
イカやタコの墨には「グルタミン酸」や「アラニン」などのアミノ酸が多く含まれています。
これが料理に深いコクと独特のうま味を与え、スープやソースにすると驚くほど味が広がります。
1-2 栄養価と健康効果
墨にはタウリン・鉄分・亜鉛・抗酸化物質が豊富です。
・疲労回復
・免疫力向上
・貧血予防
・老化防止
といった効果が期待され、滋養食として古くから重宝されてきました。
2. 世界のタコ墨料理
タコはイカに比べると墨の量が少ないため、料理に使われることは稀です。
しかし、地中海沿岸や一部の地域ではタコ墨を活用した料理が存在します。
2-1 スペイン・ガリシア地方「プルポ・エン・ス・ティンタ」
スペイン北西部のガリシアでは、タコをぶつ切りにして自家製のタコ墨ソースで煮込む料理があります。
オリーブオイルや赤ワイン、トマトを加え、濃厚で香ばしい味わいに仕上げるのが特徴です。
タコ墨はイカ墨よりも香りが柔らかく、あっさりした深みのあるソースになります。
2-2 メキシコのタコ墨スープ
メキシコの沿岸部では、タコ墨を使った「黒いスープ」が伝統的に食べられてきました。
唐辛子やハーブと組み合わせ、スパイシーかつ滋養強壮に優れた一品として人気です。
3. 世界の甲イカ墨料理
甲イカ(コウイカ)は、モンゴウイカの仲間で墨袋が非常に大きいのが特徴です。
イカの中でも特に濃厚な墨を持ち、料理に使われる機会が多いのです。
3-1 イタリア・ヴェネツィア「セピエ・アル・ネーロ」
甲イカ(セピエ)の墨を使った伝統料理。
玉ねぎやニンニクと一緒に甲イカを煮込み、黒いソースで仕上げます。
パンやパスタにかけて食べることも多く、ヴェネツィアの郷土料理の代表格です。
3-2 スペイン・バレンシア「アロス・ネグロ」
スペインでは「黒いパエリア」と呼ばれる「アロス・ネグロ」が有名。
この料理では甲イカの墨を米に染み込ませ、真っ黒な見た目に仕上げます。
魚介のうま味と甲イカ墨の濃厚な風味が融合し、観光客にも人気の一品です。
3-3 フランス南部「カラマール・ア・ラ・セピア」
フランス南部では、甲イカを赤ワインやハーブと煮込み、墨で仕上げる料理が見られます。
地中海料理の一部として、海の幸と濃厚なソースの組み合わせが評価されています。
4. イカ墨・タコ墨・甲イカ墨の違い比較
| 種類 | 特徴 | 料理への使いやすさ | 代表料理 |
|---|---|---|---|
| イカ墨 | 香りがマイルドで旨味が強い | 非常に使いやすい | イカ墨パスタ、イカ墨汁 |
| タコ墨 | あっさりしていてやや軽い | 量が少なく希少 | タコ墨スープ、プルポ・エン・ス・ティンタ |
| 甲イカ墨 | 濃厚でとろみが強い | ソースや炊き込みに最適 | アロス・ネグロ、セピエ・アル・ネーロ |
5. 墨料理の注意点
墨は独特の香りと濃厚さが魅力ですが、調理の際には以下の点に注意が必要です。
・衣服に付着すると落ちにくい
・墨袋の処理に慣れていないと破れやすい
・保存する場合は冷凍が基本(生の墨は傷みやすい)
これらを押さえることで、自宅でも安心して墨料理を楽しめます。
6. まとめ
世界には、イカ墨だけでなく「タコ墨」「甲イカ墨」を使った珍しい料理が存在します。
・スペインやメキシコではタコ墨料理
・イタリアやスペインでは甲イカ墨料理が発展
・それぞれの墨に個性があり、料理の仕上がりも大きく変わる
墨はただの副産物ではなく、世界中で「海の恵み」として大切に活用されてきました。
次に海外旅行で地中海やメキシコを訪れる機会があれば、ぜひ現地の墨料理を味わってみてください。


