「この人とは馬が合うなあ」――誰しも一度は口にしたことがあるこの言葉。
初対面なのに妙に話が合う、気が合う、そんな時に使われる日本語表現です。
けれど、よく考えてみると「なぜ“馬”なのか?」と思ったことはありませんか?
実はこの言葉には、日本の武士や馬術文化に由来する深い背景があるのです。
この記事では、「馬が合う」という言葉の語源・意味・歴史的背景・現代での使い方・類語との違い
などを分かりやすく解説します。
「馬が合う」の意味とは?
まずは基本的な意味から整理しましょう。
● 現代での意味
「馬が合う」とは、
・気が合う
・性格や考え方が自然に一致する
・一緒にいて心地よく感じる
といった場面で使われる言葉です。
相性が良い人間関係を示すポジティブな表現として使われます。
「馬が合う」の語源・由来
● 語源は“乗馬”にあり
この言葉の由来は、**馬に乗る際の“相性”**にあります。
江戸時代以前、日本では馬は戦や移動のための重要なパートナーでした。
騎手と馬の呼吸が合わないと、
・うまく走れない
・指示に従わない
・落馬の危険がある
つまり、馬との「相性」が命に関わるほど重要だったのです。
そこで、
「この馬とは相性がいい」=「馬が合う」
という表現が生まれたとされています。
● 武士や武芸者の常識だった
特に武士にとって、馬術は重要な戦技の一つ。
自分に合った馬を選ぶことは、戦で生き残るための条件でもありました。
そのため、馬との相性を「馬が合う・合わない」と表現し、
やがてそれが人間同士の相性にも使われるようになったのです。
なぜ“馬”が象徴になったのか?
動物との関係で言えば、犬や猫も人に懐きます。
けれど、犬や猫ではなく馬が語源になった理由は以下の通りです。
● 馬は“主従関係”を必要とする生き物
馬は非常に繊細で、人間の声・動き・性格などに敏感です。
・臆病な騎手には従わない
・信頼関係がないと暴走する
つまり、馬は「人間との信頼関係」がないとうまく乗れません。
この“繊細な相性”こそが「馬が合う」という表現の原点です。
● 武士社会では馬がステータスだった
江戸時代の武士階級では、馬を持つこと自体が身分の象徴。
その馬と“合うかどうか”が、人格や技量の評価にも直結していました。
現代での使い方とニュアンス
「馬が合う」という言葉は、現代でも多用されています。
● 使用例
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彼とは初対面なのに馬が合う
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同僚の中でも、彼女とは特に馬が合う
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あの二人は昔から馬が合っている
● ポイント
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相手に対する親しみや好意があるニュアンス
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自然と会話が弾む、無理をしなくていい関係性
ただし、「馬が合わない」というネガティブ表現にする場合は少し注意が必要です。
言い方によっては、角が立つこともあるため、使い方には気配りを。
「馬が合う」と似た言葉・言い換え表現
| 表現 | ニュアンス | 違いのポイント |
|---|---|---|
| 気が合う | 最も近い意味 | 一般的で幅広く使える |
| 意気投合する | 考え方が一致 | 初対面や短時間での相性の良さに使う |
| 波長が合う | 感覚的な相性 | 音楽や趣味など、感覚面の一致に強い |
| 通じ合う | 言葉がなくてもわかる | 精神的な深い結びつきに使われる |
SNS時代での「馬が合う」の広がり
現代では、SNSやオンラインコミュニティでも「馬が合う」という言葉が使われています。
-
オフ会で「この人とは馬が合う!」
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SNSのDMで「話してみたらめちゃ馬が合った」
つまり「物理的な接触がなくても“相性”を感じる」場面でも使われるようになっており、
現代語としての進化も見逃せません。
まとめ:馬が合う=信頼と相性の象徴
「馬が合う」という言葉は、単なる“気が合う”というだけでなく、
・相手との呼吸の一致
・信頼関係の深さ
・自然体でいられる安心感
といった、人間関係の本質を表す美しい日本語表現です。
そのルーツが“人と馬の関係”という意外なところにあることは、
日本の歴史や文化を感じさせるとても興味深いポイントです。
おわりに
言葉の裏にあるストーリーを知ることで、日常の表現に深みが生まれます。
次に誰かと「馬が合う」と感じたとき、その言葉の意味を少しだけ思い出してみてください。
それは、何百年も前から続く「信頼と調和の証」なのかもしれません。


