■ 養殖魚は「安定」、天然魚は「不安定」こそが魅力
スーパーや飲食店で魚を食べた際に、
「前に食べたときのほうが、もっと脂がのってた気がする…」
「同じ魚なのに、今日のは少し水っぽいような…」
こんなふうに感じたことはありませんか?
それ、実は天然魚特有の“味のばらつき”が原因なんです。
養殖魚はエサ、環境、サイズを人為的に管理しているため、味や脂のノリが一定になりやすいのに対し、
天然魚は「季節」「場所」「エサ」「水温」「個体差」など、さまざまな自然条件に左右されます。
その結果、味の差が大きくなるのです。
■ 天然魚の「味」はいつも一定ではない
天然魚は、季節ごとにエサや活動量が変わるため、体内に蓄える脂肪量が大きく変化します。
たとえば…
・ブリ:冬に向かって脂が乗る「寒ブリ」が有名。夏は身が締まり、脂は少なめ。
・アジ:春〜初夏は回遊型が美味しく、秋は脂のノリに差が出やすい。
・サバ:秋〜初冬が旬。夏は脂が抜けて味が落ちる個体も。
同じ「魚種」でも、旬を外せばまったく違う魚に感じることもあります。
また、釣れた場所の水温やエサの種類、個体の年齢、性別なども味に影響します。
■ 「天然=美味しい」とは限らない?
よく「天然魚は養殖より美味い」と言われますが、それは「旬」や「個体」が当たったときの話。
実際には、養殖魚のほうが安定して脂が乗っているケースもあります。
とくに冬以外の天然魚は、
・筋肉質で脂が少ない
・身が水っぽい
・鮮度管理が難しい(締め方次第で味が変わる)
などの理由で、「期待外れ」と感じることもあるのです。
だからこそ、天然魚は「味のギャンブル的要素」があるといえるでしょう。
■ 養殖魚はなぜ味が一定なのか?
一方で、養殖魚は管理された環境で、
・脂の乗る配合飼料を与える
・ストレスの少ない水質や密度を保つ
・決まった期間で出荷する
といった体制のもと育てられているため、味のばらつきが非常に少ないのが特徴です。
「脂のノリ」「食感」「身の厚み」などもほぼ均一化されており、いつでも「そこそこ美味しい」状態が提供されます。
外食チェーンや寿司店で養殖魚が好まれる理由もここにあります。
■ 天然魚を美味しく食べたいなら「旬」と「仕入れ元」に注目!
では、どうすれば天然魚で「美味しい個体」に出会えるのか?
ヒントは次の2点です。
【1】旬の時期を狙う
「魚には旬がある」とよく言われますが、これは事実です。
旬の天然魚は体に脂を蓄え、栄養価も高く、味わいも濃厚になります。
例:
・アオリイカ→春と秋
・イサキ→初夏(6~7月)
・キンメダイ→冬
・カワハギ→秋~冬(肝パン)
【2】信頼できる仕入れ先を選ぶ
鮮魚店や直売所、地元の漁協など「扱いが丁寧で、魚の状態を見極めている」お店を選ぶことも大切です。
天然魚は締め方や保存状態によって、味が大きく変わるためです。
釣り人が自分で釣って、自分で締めて、氷で冷やして持ち帰る場合も同様で、「魚の扱い」が味を左右します。
■ まとめ:「前の方が美味しかった」は天然魚なら当然
天然魚の味にばらつきがあるのは、
・自然の中で育つから
・エサ、気温、活動量、年齢などがバラバラだから
これが、「前回のほうが美味しかったのに…」という感想の理由です。
それも天然魚の**“自然の味わい”であり、一期一会の楽しみ**ともいえるでしょう。
いつも同じ味を求めるなら養殖魚が安心。
でも、旬や個体によっては「感動レベルの美味しさ」に出会えるのが天然魚の魅力です。
ぜひ、天然魚を味わうときは“ばらつき”も楽しんでください。


