岩場や堤防、船底やカキ殻に張りついている、ゴツゴツとした小さな塊。
それが「フジツボ(藤壺)」です。
見た目はまるで小さな貝のようですが、実はまったく別の生き物。
今回はこの不思議な海の生物「フジツボ」について、釣り人や海辺を散策する人にも役立つ情報を徹底解説します。
フジツボとは?分類と正体
・分類学上の正体:甲殻類(エビやカニの仲間)
・学名:Cirripedia(セッケイ類)
・分類:節足動物門 甲殻亜門 類腕類(セッケイ類)
見た目はカキやカサガイのような「巻き貝」に思われがちですが、実はフジツボは貝ではなく甲殻類。
幼生の時には泳ぎ回り、大人になると岩などに張りついて一生を終えます。
フジツボの生態:どうやって生きている?
・岩や堤防にくっつくのはなぜ?
フジツボの幼生は泳ぎながら適した場所を探し、そこに「セメント質の分泌物」で強固に固着します。
この接着力は非常に強く、フジツボの接着剤は人工接着剤の研究材料にも使われているほど。
・どうやってエサを食べる?
殻の中央の穴から**「蔓脚(まんきゃく)」**と呼ばれる足のような器官を出し、海水中のプランクトンや有機物をキャッチして食べています。
波が来るたびにその足をパタパタと動かし、まるで「網」で水中のエサを濾し取るような仕組みです。
なぜフジツボは迷惑がられるのか?
・船底やエンジンにびっしり付着すると航行速度が落ちたり燃費が悪化したりする
・養殖施設や漁具、港の構造物などに大量付着して清掃やメンテナンスの手間が増える
このため、船舶業界や漁業では「フジツボ除去」は重要なメンテナンス項目となっています。
防汚塗料やフジツボ対策の素材開発が盛んに行われています。
フジツボは食べられる?その味は?
意外に思われるかもしれませんが、一部のフジツボは食用です。
特に「エボシガイ科」や「ミネフジツボ」は、スペインやフランスなどで高級食材として扱われています。
日本でも青森や三陸地方では「ミネフジツボの味噌汁」が地元グルメ。
カニのような濃厚な風味があり、殻の中のわずかな身を取り出して食べます。
フジツボがいる場所は海がキレイな証?
・フジツボは波が強くて酸素が豊富な場所を好みます
・汚れた水域では繁殖しにくく、あまり見られません
つまりフジツボがびっしりついている岩場は、自然の浄化作用が働いている海域の証拠でもあります。
磯釣りやシュノーケリングのスポットとしてもおすすめです。
まとめ:フジツボは海の小さな掃除屋
フジツボはその見た目から誤解されがちですが、実は海洋環境を支える重要な生物のひとつです。
・エビやカニの仲間である
・一生を岩などに張りついて過ごす
・水中の有機物を濾し取って食べる=「天然の濾過装置」
・一部は食用としても利用されている
海辺で見つけたら、ぜひ観察してみてください。
その小さな身体の中に、大きな生態の仕組みが詰まっています。


