「ダムは山にあるものだから、海の魚には関係ないのでは?」
実はそうではありません。
ダムの建設は、川の生態系だけでなく、河口や沿岸の海の魚にまで大きな影響を及ぼしているのです。
本記事では、**ダム建設が海の魚にどう影響を与えるのか?**を、具体例とともにわかりやすく解説します。
■ ① 川から海への「栄養の流れ」が止まった
ダムができると、川の水が堰き止められ、上流から海への流れが減少します。
これにより、海に流れ込んでいた**「山の栄養(有機物やミネラル)」が激減**。
その結果…
▼起きた変化
・プランクトンの減少
・それに連鎖して、小魚(イワシ・サヨリ・キビナゴ)も減少
・沿岸の魚の集まりが悪くなり、漁獲や釣果が落ちる
栄養豊富な「汽水域」が貧栄養化し、“魚が寄らない海”が増えているのです。
■ ② 砂が流れなくなり、海底地形が変化
川は海に砂・小石・土砂を運ぶ重要な役割を持っています。
ダムができると、これらがダム湖に堆積してしまい、海に届かなくなるため…
▼影響例
・干潟や砂浜が消失(ウナギ・キス・カレイ・アナジャコなどの産卵場所が減少)
・藻場・岩礁の埋没や崩壊(アオリイカやアカハタの産卵環境が破壊)
特に浅場に依存する魚種は激減傾向にあります。
■ ③ アユ・ウナギ・サケなど「回遊魚」の激減
川と海を行き来する魚、いわゆる**「回遊性魚類」**は、ダムにより上流へ遡上できなくなりました。
▼影響を受けた代表魚種
・アユ(海で育ち川に戻る)
・ウナギ(川で育ち、海で産卵)
・サケ(川に遡上して産卵)
これらの魚は生涯サイクルを完遂できなくなり、絶対数が激減しています。
■ ④ 海水の塩分濃度や河口環境が不安定化
川の流量が減ると、河口部の塩分濃度が高くなりすぎたり、変動が激しくなります。
その影響で、汽水を好む魚(ボラ・スズキ・クロダイなど)の産卵や定着に悪影響が出ています。
さらに、河口干潟の縮小や消失により、水鳥や底生生物も減り、海と陸の生態系全体が崩れる可能性もあります。
■ ⑤ ダム=“海の砂漠化”の要因にもなりうる
かつて「海は海、山は山」と分けて考えられていましたが、
実際には、山の栄養が川を通じて海を育てているという関係があります。
ダムによりこの流れが断たれると、沿岸海域の生産力が著しく低下します。
これが「海の砂漠化(貧栄養化)」と呼ばれる現象です。
■ まとめ|ダムは海の魚にも確実に影響している
・ダムは川だけでなく、沿岸海域の魚の数・種類・生育環境にまで深刻な影響を与えている。
・特に栄養・砂・遡上ルートの遮断が顕著で、沿岸漁業や釣りにも影響大。
・「山から海へ」の自然の流れを再評価し、今後は環境と共存するダムの設計や管理が求められる時代に。


