潮風が吹く静かな朝、砂浜に一匹の魚が横たわっていた。
かつては海を自由に泳ぎ、太陽の光を受けながら悠々と暮らしていたその魚も、今は干からび、
骨となり、砂に還ろうとしている。
【1日目:浜辺に打ち上げられる】
嵐の夜、激しい波に押し流され、魚の体は浜辺へと打ち上げられた。
まだうっすらと水気を含んだ鱗は、朝日を浴びてわずかに光る。
しかし、もはや動くことはない。
浜辺を歩くカニたちが、その体を確かめるように近寄り、潮が引くたびに波が軽く揺さぶる。
【1週間後:海の生き物たちの宴】
乾いた風が吹き、魚の皮膚は徐々に硬く縮み始めた。
海鳥が飛来し、くちばしで肉をついばむ。
その夜、満ち潮が再び魚を海へ運ぼうとするが、体は砂に埋まり、潮の力だけでは動かせなくなっていた。
カニ、フナムシ、そして小さなバクテリアが、残された肉を少しずつ分解していく。
【1ヶ月後:骨だけが残る】
もはや肉の痕跡はほとんどなく、魚の骨格が砂浜に転がる。
日差しに晒され続けた骨は白く輝き、潮風に削られながらも、まだその形を保っている。
波がやってくるたびに、骨は少しずつ砂の中へと沈んでいく。
【1年後:砂に埋もれ、形を失う】
雨風にさらされ、骨の形は崩れ始めた。
大きな骨は砕け、小さなかけらは砂粒と混ざり合い、もはやかつて魚であったことを知るものはいない。
【10年後:完全に自然へと還る】
魚の骨はすっかり砂と同化し、見分けることはできなくなった。
そのカルシウムは砂浜の一部となり、海へと流れ出す。
もしかすると、遠い海で新たな命の一部となるかもしれない。
かつて生きていた命が、形を変えながらも海の循環の中に息づいている。
「すべての命は巡る。海から生まれ、海へと還る——。」
今日も波は静かに打ち寄せ、また新たな命を運んでいる。


