「海水氷を使うと魚が臭くなりにくい。」
これは感覚論ではありません。
きちんと科学的な理由があります。
特にアオリイカや青物を扱う南紀の釣りでは、この差ははっきり出ます。
今回は、臭いの正体と海水氷の効果を理屈で解説します。
魚の生臭さの正体は2つ
魚の臭いは主にこの2つです。
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TMA(トリメチルアミン)
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細菌増殖による腐敗臭
① TMAとは何か
海水魚の体内にはTMAOという物質があります。
魚が死ぬと、これが分解されてTMAになります。
これがいわゆる「生臭い臭い」です。
つまり臭いは時間と温度に比例します。
② 細菌の増殖
魚の体表や内臓には常在菌がいます。
温度が上がると急速に増殖し、腐敗臭を発生させます。
特に20℃以上では爆発的に増えます。
海水氷で臭いが減る理由① 急速冷却
塩分を含む海水氷は0℃より低い温度になります。
つまり真水氷より低温で冷やせる。
温度が低いほど
・TMA生成が遅くなる
・細菌増殖が抑えられる
これが最大の理由です。
臭いを消しているのではなく
臭いの発生スピードを抑えているのです。
海水氷で臭いが減る理由② 浸透圧
真水氷は溶けると真水になります。
海水魚の体液より薄い濃度の水が触れると
・細胞が水を吸う
・身がふやける
・ドリップが出る
このドリップの中に臭い成分が含まれます。
一方、海水氷は塩分濃度が近いため
・細胞が壊れにくい
・ドリップが出にくい
・臭い成分が流出しにくい
結果として臭いが抑えられます。
海水氷で臭いが減る理由③ 酸素供給を抑える
氷で急冷すると
・血液の酸化が抑えられる
・脂質の酸化が遅れる
脂の酸化も臭いの原因です。
青物が時間経過で臭くなるのは
脂質の酸化が進むからです。
低温維持は酸化抑制にも有効です。
アオリイカとの相性が良い理由
アオリイカは水分含有量が高い生き物です。
真水氷では
・表皮が白くなる
・身が柔らかくなる
・甘みが落ちる
海水氷では
・透明感が保たれる
・身が締まる
・臭いが出にくい
これは浸透圧の理屈です。
食中毒との関係
海水氷は殺菌するわけではありません。
しかし
・急速冷却
・低温維持
によって細菌の増殖スピードを遅らせます。
つまり
「臭いを防ぐ=細菌の動きを遅らせる」
という関係です。
まとめ
海水氷で臭いが減る理由は3つです。
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低温によるTMA生成抑制
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浸透圧によるドリップ抑制
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酸化抑制
臭いを消しているのではなく
臭いを出させない仕組みです。
特に
・アオリイカ
・青物
・白身魚
には効果が大きいです。
鮮度は温度で決まります。

