「この魚、脂ノリノリですよ!」
魚屋さんや居酒屋で、よく耳にする殺し文句ですね。
確かに、醤油を弾くほどの脂は食欲をそそります。
寒ブリや戻りカツオなど、脂こそ正義という魚も多いです。
でも、ふと思うことはありませんか。
「脂があれば、何でも美味いのか?」と。
実は、我々釣り人からすると、答えは「NO」でもあり「YES」でもあります。
今回は、魚のプロであり、現場を知る釣り人の視点から、このテーマに切り込みます。
SEO的にも、食通の皆様にも、目からウロコの話をさせていただきます。
日本人はなぜこれほど「脂」を求めるのか
日本人の味覚は、脂に含まれる「甘み」と「香り」に弱いです。
マグロのトロが高級とされるのも、口の中でとろける食感と、濃厚な旨味があるからですね。
特に養殖技術が発達した現代では、全身トロのような魚も作れるようになりました。
わかりやすい美味しさ、それが「脂」なんです。
「脂=正義」が当てはまらないケース
しかし、毎日ステーキが食べられないように、魚の脂も「質」と「量」が重要です。
例えば、真夏に釣れる魚や、磯の王者・イシダイなどを想像してください。
これらは、脂の量よりも「身の締まり」や「爽やかな旨味」を楽しむ魚です。
コリコリとした歯ごたえ、噛むほどに広がる上品な甘み。
これは、脂で誤魔化せない、魚本来の実力です。
また、脂が乗りすぎていると、刺身で数切れ食べただけで胸焼けすることもありますよね。
「キレのある脂」か、「ベタつく脂」か。
天然の魚を釣って食べていると、この違いが痛いほどよく分かります。
料理法との相性(マッチング)が全て
重要なのは、「その魚の状態に合った食べ方をしているか」です。
脂がギトギトに乗っているなら、あえて「焼き」や「煮付け」にして脂を落とす。
逆に、脂が少ないサッパリした個体なら、「唐揚げ」や「フライ」で油分を補う。
あるいは、昆布締めにして旨味を凝縮させる。
「脂がないから不味い」と決めつけるのは、非常にもったいないことです。
魚の個性を活かす料理法を選べるかどうかが、釣り人の腕の見せ所でもあります。
釣り人だけが知る「個体差」の面白さ
スーパーに並ぶ魚は、規格が揃っています。
しかし、自然界の魚は違います。
同じ場所、同じ時期に釣れたグレでも、内臓脂肪がびっしりの個体と、スマートな個体がいます。
これを捌いて、味比べできるのは釣り人の特権です。
「こいつは痩せてるけど、身の味が濃いな」
「こっちは脂がすごいから、炙りにしよう」
そんなふうに、一匹一匹と対話しながら食べる。
これこそが、本当の「美味しい魚」の楽しみ方ではないでしょうか。
まとめ:自分の舌で答えを見つけよう
結論として、「脂がのっている=美味しい」は一つの真実ですが、全てではありません。
季節、魚種、そして個体差。
それらを丸ごと楽しめるのが、釣りの醍醐味です。
南紀の海は、脂の乗った寒グレから、サッパリとした白身魚まで、食材の宝庫です。

