冬季になると、堤防の足元を銀色の鉛筆が泳ぎ回る。
かつての南紀では、当たり前のような光景でした。
サヨリです。
可憐な見た目と、上品な白身の美味しさ。
子供からベテランまで楽しめる人気のターゲットでした。
しかし、ここ数年。
「最近、サヨリを見かけないな」
「前はもっと簡単に釣れたのに」
そんな会話を耳にすることが増えました。
いや、実際には「激減した」と言っても過言ではありません。
なぜ、南紀の海からサヨリが姿を消しつつあるのか。
その背景には、やはり逃れられない「温暖化」の影が見え隠れしています。
1. サヨリにとって南紀は「暑すぎる」場所に?
サヨリは、極端な高水温をあまり好みません。
もともと温帯の魚ではありますが、近年の南紀の海水温は、異常なほどの高さを記録し続けています。
黒潮の蛇行や温暖化の影響で、冬でも水温が下がらない。
サヨリにとって、今の南紀は「快適な生息地」から「暑くて居心地の悪い場所」に変わってしまった可能性があります。
実際、もっと北のエリアや、水温の低い地域では釣れているという情報もあります。
彼らの生息域が、少しずつ北へ北へと追いやられているのかもしれません。
2. 産卵場所である「藻場(もば)」の消失
これが最も深刻な理由かもしれません。
サヨリは、ホンダワラなどの海藻(流れ藻)に卵を産み付ける習性があります。
しかし今、南紀の磯では「磯焼け」が深刻化しています。
高水温と、活発になった植食性魚類(アイゴやイスズミなど)の食害により、海藻が育たないのです。
産卵するベッドである海藻がない。
これでは、新しい命が育つはずもありません。
サヨリが減ったのは、彼らのゆりかごが奪われてしまったからではないでしょうか。
3. 強力なライバルの増加
水温が上がれば、南方の元気な魚たちが幅を利かせます。
餌取り名人であるチョウチョウウオや、スズメダイ、そして猛烈な勢いで餌を奪うダツやメッキたち。
おちょぼ口で、優雅に餌をついばむサヨリにとって、生存競争が激しすぎる海になってしまったのです。
餌を食べる前に、他の魚に奪われてしまう。
そんな過酷な環境が、サヨリを遠ざけているのかもしれません。
まとめ:変わりゆく海を受け入れて
「昔はよかった」と嘆くのは簡単です。
しかし、自然は常に変化し続けています。
サヨリが減った代わりに、今まで釣れなかった南洋の魚や、ハタ類のような魚が増えているのも事実です。
私たちは釣り人として、この変化した海とどう向き合うか。
今の南紀の海で、何が釣れるのか、何を楽しむべきか。
釣太郎では、変わりゆく海の状況をリアルタイムで発信し、その時々の「正解」を皆様にご提案し続けます。
サヨリが再び群れを成して帰ってくる日を夢見つつ、今は今の海を楽しみましょう。

