釣りたての魚を焼いたり煮たりしたとき。
皮が破れ。
身が一気に盛り上がり。
「パンッ」と破裂したようになる経験はありませんか。
実はこれ。
魚が新鮮すぎることが原因です。
一方で。
数日寝かせた魚では、同じ調理をしても不思議と爆発しません。
なぜそんな違いが起こるのか。
今回はその理由を、科学と現場目線の両方から解説します。
結論から言うと
爆発の正体は「水分と筋肉の緊張」
魚の身が火入れで爆発する最大の原因は、
・筋肉が極端に硬い
・細胞内に水分を大量に抱え込んでいる
この2点です。
鮮度が高すぎる魚は。
まだ死後硬直の途中、または直前の状態にあります。
鮮魚の筋肉は「ゴムのように張っている」
釣りたて直後の魚の筋肉は。
・ATP(エネルギー物質)が残っている
・筋繊維が強く収縮したまま
・細胞膜が健全で水分を保持している
この状態です。
つまり。
パンパンに張った水風船のような構造になっています。
火を入れると何が起きるのか
ここに加熱が入ると。
・筋繊維が急激に収縮する
・内部の水分が一気に水蒸気になる
・逃げ場を失った圧力が一点に集中する
結果として。
皮や身を突き破って爆発するのです。
特に起こりやすい条件は次の通りです。
・鮮度が極端に高い
・冷却が不十分
・皮目から強火で一気に火入れ
これは失敗ではなく。
むしろ新鮮すぎる証拠でもあります。
数日置くとなぜ爆発しなくなるのか
ここが重要なポイントです。
魚を冷蔵で数日寝かせると。
魚体の中では次の変化が起きます。
1 筋肉の緊張が解ける
死後硬直が進行し。
やがて硬直が解け始めます。
・筋繊維の結合が弱まる
・弾力が減る
・収縮エネルギーが失われる
これにより。
急激な収縮が起きなくなるのです。
2 水分保持力が下がる
時間経過とともに。
・細胞膜が徐々に壊れる
・水分が外へ移動しやすくなる
結果として。
内部圧力が溜まりにくくなる。
これが。
爆発しなくなる最大の理由です。
3 旨味成分が増える副産物
さらに。
・ATPが分解され
・イノシン酸が増加
つまり。
爆発しなくなる頃には。
味はむしろ良くなっているのです。
鮮度が高い魚ほど「火入れは慎重に」
釣り人や料理人が知っておくべき対策です。
爆発を防ぐ調理のコツ
・弱火からじっくり火を入れる
・皮目に切れ目を入れる
・一度常温に戻してから調理
・煮付けは落とし蓋を使う
特に。
皮目に包丁を入れるだけで、圧力は大きく逃げます。
逆に言えば
爆発しない魚は「適度に落ち着いた魚」
爆発しないから悪い魚。
ではありません。
むしろ。
・火入れ向き
・煮付け向き
・焼き物向き
としては。
数日置いた魚の方が安定する場合も多いのです。
まとめ
魚の爆発は失敗ではない
魚が火入れで爆発する理由は。
・鮮度が高すぎる
・筋肉が強く緊張している
・内部水分が逃げ場を失う
これらが重なった結果です。
数日置くと爆発しなくなるのは。
・筋肉が緩む
・水分が分散する
・加熱圧力が逃げる
という自然な変化によるもの。
つまり。
爆発=悪ではない。
扱い方を知っているかどうか。
これが魚を美味しく食べるかどうかの分かれ道です。

