誤解を恐れずに言います。
スルメイカの一夜干しを
10回我慢してでも、
一度はアオリイカの干物を食べてほしい。
それほどまでに、
この二つは別物です。
これは
「高級・安物」の話ではありません。
「好み」の話でもありません。
味の方向性そのものが違う。
それだけの話です。
スルメイカの一夜干しは完成度が高い
まず前提として、
スルメイカの一夜干しは優秀です。
・安定した旨味
・噛むほど味が出る
・酒の肴として完成度が高い
日本の干物文化を
長年支えてきた存在であり、
否定されるものではありません。
しかし、
その完成度の高さこそが、
基準を固定してしまった原因でもあります。
「イカの味」は刷り込まれてきた
多くの人は、
無意識のうちにこう思っています。
・イカは硬い
・噛まないと旨くない
・後から味が出る
これは
スルメイカ基準で作られた味覚です。
アオリイカの干物は、
この前提を正面から壊します。
アオリイカは干物にすると性格が変わる
アオリイカは
・水分が多い
・脂がほぼ無い
・甘みはアミノ酸由来
このため、
完全に干すと向きません。
しかし
一夜干しという中途半端な工程を通すと、
一気に化けます。
・水分は10〜15%だけ減る
・甘みが一気に前に出る
・身が柔らかいまま
この状態で焼くと、
スルメイカとは
まったく別の世界が現れます。
噛んだ瞬間に勝負が決まる
スルメイカの一夜干しは
「噛んで、噛んで、後半で旨い」。
アオリイカの干物は
「一口目で、すでに旨い」。
この違いは大きい。
・甘みが先に来る
・香ばしさが上品
・後味が異常にクリア
噛み続けなくても旨い。
疲れない。
雑味が残らない。
これが
「10回我慢してでも」と言われる理由です。
数値で見ても方向性が真逆
遊離アミノ酸量(100g中)
・アオリイカ
約900〜1,100mg
・スルメイカ
約600〜800mg
さらに
アオリイカは
甘み系アミノ酸の比率が高い。
つまり
噛まなくても甘い。
スルメイカは
噛んで引き出す旨味。
どちらが上ではなく、
体験が違う。
なぜ「一度は食べるべき」なのか
アオリイカの干物は
・量が取れない
・鮮度が必要
・作る側の理解が必要
そのため、
誰でもいつでも食べられるものではありません。
だからこそ、
一度も食べずに終わる人が多い。
しかし、
それは
イカという食材の可能性を
半分しか知らない状態でもあります。
スルメイカを否定しているわけではない
大事な点です。
スルメイカは
・保存食として完成形
・酒肴文化の中心
アオリイカは
・食材としての完成形
・料理としての完成度が高い
役割が違うだけ。
ただし、
一度は基準を壊す体験が必要。
その役目を果たすのが、
アオリイカの干物です。
まとめ
スルメイカの一夜干しを
10回我慢してでも、
一度はアオリイカの干物を食べるべき。
それは
贅沢だからではありません。
味覚の基準を更新できるからです。
イカは硬いもの。
噛むもの。
酒の肴。
その常識は、
一夜で崩れます。
一度でいい。
それで十分。
アオリイカの干物は、
それほどの破壊力を持っています。

