「アジなんて、サビキでいくらでも釣れる魚でしょ?」
そう思っているのは、まだ本当のアジ釣りを知らないからかもしれません。
釣り人の間には**「25cmの壁」**という言葉が存在します。
堤防から釣れるアジは大きくても20cm〜25cm止まり。
30cmを超える「尺アジ」となると、本来は船で沖に出なければ出会えない「幻のターゲット」なのです。
しかし、ここ和歌山・南紀エリアには、その常識が通用しないフィールドがあります。
今回は、なぜ尺アジは堤防から釣れないのか、そしてなぜ南紀ならそれが可能なのか。
冬こそ狙うべき「奇跡のデカアジ」について解説します。
1. なぜ「堤防からの尺アジ」は全国的に珍しいのか?
結論から言うと、尺アジが堤防からコンスタントに釣れる地域は、日本全国を探してもごくわずかです。
これにはアジの習性が大きく関係しています。
-
豆〜小アジ(〜15cm):漁港内や浅い湾内で群れる。
-
中アジ(20〜25cm):堤防の先端や、少し沖のカケアガリにつく。
-
尺アジ(30cm〜):生活圏を「沖の深場」へと移してしまう。
成長して大型になったアジは、より豊富な餌と安定した水温を求めて沖へ出てしまいます。
そのため、一般的な湾奥の堤防(東京湾や大阪湾の奥など)では、物理的に尺アジが回遊してこないのです。
これが、オカッパリ(陸釣り)アングラーが直面する「25cmの壁」の正体です。
2. 尺アジが接岸する「3つの条件」
では、なぜ南紀ではその壁を越えられるのでしょうか。
大型のアジが岸まで寄ってくるには、以下の特殊な地理条件が必要です。
① 足元から「ドン深」であること
沖の深場と堤防が直結しているような地形が必要です。
南紀の磯や堤防は、足元から水深10m〜20mある場所も珍しくなく、沖を回遊する大型魚がそのまま岸壁沿いを通ることができます。
② 外洋の潮が直撃すること
大型の魚体・群れを維持するには、大量のプランクトンや小魚が必要です。
湾内の淀んだ水ではなく、常に新鮮な海水が入れ替わる潮通しの良さが不可欠です。
③ 黒潮(暖流)の恩恵
これが最大の要因です。
本州で最も黒潮が接岸する南紀エリアは、冬でも水温が安定しており、魚の活性が下がりません。
黒潮は「海の栄養」を運ぶベルトコンベアのようなもので、これに乗って巨大なアジが回遊してきます。
3. 冬の南紀は「デカアジの聖地」
これらの条件が全て揃っている場所は、愛媛の佐田岬周辺や、九州の離島、そして和歌山の南紀エリアくらいしかありません。
特に冬(12月〜3月頃)はチャンスです。
水温低下とともに、他の地域の魚が深場へ落ちて釣れなくなる中、南紀には越冬のために脂を蓄えた大型アジが集結します。
-
カゴ釣り:遠投して深場を直撃すれば、40cm近い「ギガアジ」も夢ではありません。
-
アジング:繊細なタックルで狙う尺アジのスリリングな引きは、一度味わうと病みつきになります。
4. 船釣りレベルの味を、堤防から
冬の尺アジは、味も別格です。
「アジは春が旬」と言われますが、それは漁獲量の話。 味の旬、脂の旬は間違いなく冬です。
スーパーで売っているアジとは違い、内臓脂肪で真っ白になった身は、刺身にすると醤油を弾くほど。
船に乗って高い料金を払わなくても、この極上の味が堤防から狙える。 それが南紀の釣りの凄さなのです。
まとめ
「尺アジは船で釣るもの」という常識を捨てて、この冬は南紀へ来てみませんか。
ただし、相手は30cmオーバーの強敵です。 細いラインでは一瞬で切られてしまうこともあります。
タックル(道具)の準備と、寒さ対策を万全にして、「25cmの壁」を越える感動を味わってください。

