アオリイカの泳ぎ方でわかる心理状態|頭の角度と触手の位置に隠された意味

釣り人がよく観察すると、アオリイカは一定方向にただ泳ぐだけでなく、

頭を上にしたり下にしたり触手を水平に伸ばしたり垂らしたりと、細かな姿勢の変化を見せます。

実はこの泳ぎ方の違いは、アオリイカの感情・環境認識・捕食行動を如実に表しているのです。

今回は、南紀地方で展示飼育されているアオリイカの観察データと釣り現場での行動傾向をもとに、

その違いをわかりやすく解説します。

頭を上にして泳ぐとき|警戒・探索モード

アオリイカが頭を上に向けて泳いでいる時は、警戒心や周囲の探索行動が強く働いています。

海底よりも少し上層を漂いながら、周囲の光や影を確認している状態です。

この姿勢は**「危険察知」や「周囲の敵・獲物確認」**のための行動と考えられます。

特徴

・背中のヒレをゆっくり動かし、ゆらゆらと浮遊する。
・触腕(長い2本)は垂らし気味で、攻撃的ではない。
・体色は半透明または淡いグレー。

釣り現場での意味

エギやアジを見つけても、すぐには襲わず**“観察している段階”**。

この時は、アオリイカがまだ迷っているため、

軽いシャクリやステイ(止め)で興味を引くのが効果的です。


頭を下にして泳ぐとき|捕食・攻撃モード

一方でアオリイカが頭を下にして泳いでいる時は、ほぼ間違いなく攻撃態勢です。

ターゲット(アジや小魚)に向かって接近する際、

漏斗を下向きにして推進力を集中させ、

「急襲」するための角度を取っています。

特徴

・体をわずかに斜め下に向け、一定の姿勢で静止する。
・触腕は水平または前方に構え、いつでも射出できる体勢。
・体色はやや濃く、黒っぽい斑点が現れる。

釣り現場での意味

アジにロックオンしている状態。
このタイミングでヤエンを投入したり、エギを止めて**「抱かせの間」**を作ると、ヒット率が格段に上がります。


触手・触腕を水平にしているとき|攻撃準備状態

アオリイカには「腕(短い10本のうち8本)」と「触腕(長い2本)」があります。

このうち触腕を水平に構えている時は、明確に捕食の準備段階です。

触腕の先端には「吸盤とカギ」があり、この部分で一瞬にして獲物をつかむため、

水平に構えるのは**“狙いを定めている最中”**を意味します。

特徴

・全身がやや前傾姿勢。
・獲物との距離を一定に保ちながら停止。
・体色変化が細かく点滅する。

釣り人へのヒント

この状態のアオリイカは「抱く直前」。
ヤエン釣りならアジが急に暴れ始めるタイミング、
エギングならステイ(止め)を長く取ると抱きに変わります。


触手を垂らしているとき|休息・観察状態

反対に、触腕を下に垂らしている時はリラックス状態
周囲に脅威がなく、捕食もしていない穏やかな時です。

水槽内のアオリイカでもこの姿勢が最も多く、
「何もしていないが、周囲を見ている」状態です。

特徴

・ヒレをゆっくり動かして静止。
・体色は明るく、白または薄茶色。
・他個体と距離を保ちながら遊泳。

釣り人へのヒント

この姿勢のアオリイカはまだスイッチが入っていないため、
強すぎるアクションよりもゆっくり見せる釣り方が有効です。
焦らず潮の流れに合わせて自然に誘うのがベスト。


姿勢・触手・体色でわかる「アオリイカの気持ち」まとめ

状態 頭の向き 触手の位置 意味 行動傾向
警戒・探索 上向き 垂らす 周囲を観察中 攻撃性なし
捕食・攻撃 下向き 水平 獲物を狙っている 高確率で抱く
リラックス 水平〜やや上 垂らす 休息中 反応低め
威嚇・防御 水平 広げる 外敵に対して威嚇 墨を吐く前兆

まとめ:アオリイカの泳ぎは「心の鏡」

アオリイカは表情を持たない生物ですが、
体の角度・触腕の位置・体色によって、まるで感情を伝えるように動きます。

頭を上げれば「周囲を探る」、
頭を下げれば「獲物に集中」、
触手を水平にすれば「攻撃準備」、
触手を垂らせば「休憩中」。

このように泳ぎの姿勢からイカの状態を読み取ることで、
釣り人はより自然なタイミングでヤエンを入れたり、
エギを止める“勝負の瞬間”を見極められます。


要約

  • 頭を上にして泳ぐ:警戒・探索中

  • 頭を下にして泳ぐ:捕食・攻撃体勢

  • 触手を水平に構える:抱く直前の狙い段階

  • 触手を垂らす:リラックス・非攻撃モード

アオリイカの姿勢は、まさに「心の言葉」。
泳ぎ方を見れば、今何を考えているかが見えてくるのです。


FAQ(よくある質問)

Q1. 水槽でアオリイカが上下に動くのはなぜ?
A. 光や人影を確認しようとする探索行動です。頭を上げて周囲を見渡していることが多いです。

Q2. 頭を下にしたまま止まっているのは?
A. 捕食対象を見つけた、または攻撃体勢に入っている可能性があります。

Q3. 触手を広げるのはどんなとき?
A. 外敵に威嚇するときや、他の個体と縄張り争いをしているときです。

現在みなべ店で展示飼育中!

アオリイカ、頭を上にして泳ぐ:警戒・探索中。頭を下にして泳ぐ:捕食・攻撃体勢。触手を水平に構える:抱く直前の狙い段階 触手を垂らす:リラックス・非攻撃モード。釣太郎

 

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