アオリイカにライトを当てると青く光る。
その不思議な光景
夜釣りや水槽で、アオリイカにライト(照明)を当てた瞬間、体表の斑点が鮮やかな
エメラルドグリーンやメタリックブルーに「キュッ」と輝くのを見たことはありませんか。
「イカは自分で光るんだ。」
「電気イカ。」
と思うかもしれませんが、実は彼ら自身が
ホタルやウミホタルのように「生物発光」しているわけではありません。
では、なぜ照明を当てると、まるでネオンサインのように青く光るのでしょうか。
その答えは、イカの皮膚に隠された、驚くべきハイテクノロジーにあります。
結論:その光は「反射」。
正体は「虹色素胞」
アオリイカが青く光って見える理由。 それは、**「虹色素胞(こうしきそほう)」**と
呼ばれる特殊な細胞が、外部の光(ライトの光)を反射しているためです。
イカの皮膚は、実は3つの異なる細胞層でできており、これらを組み合わせて体色を瞬時に変化させています。
- 色素胞(しきそほう): 皮膚の最も浅い層にあります。 黒、茶、赤、黄色などの「色素(インク)」が入った袋です。 筋肉でこの袋を広げたり縮めたりして、基本的な体色(茶色っぽくなったり、透明になったり)を作ります。
- 虹色素胞(こうしきそほう): 「青く光る」犯人はこれです。 色素胞の下の層にあります。 この細胞には「色素」は入っていません。 その代わり、グアニン結晶などでできた「薄い板」が何層にも重なっています。
- 白色素胞(はくしきそほう): 一番下の層で、光を散乱させ、白地(背景)を作ります。
なぜ「青く」光るのか。
「構造色」という仕組み
では、なぜ「虹色素胞」は青く光を反射するのでしょうか。
それは、シャボン玉やクジャクの羽が美しく輝くのと同じ**「構造色(こうぞうしょく)」**という原理です。
虹色素胞の中にある「何層にも重なった薄い板」。
ここに照明の光が当たると、光はそれぞれの層で反射します。
このとき、特定の波長の光(例えば「青色」の光)だけが強く干渉し合い、私たちの目に届きます。
他の色の光は、打ち消し合って見えなくなります。
つまり、イカの青い斑点は「青いインク」があるのではなく、**「青色だけを強く反射するように設計された鏡」**のようなものなのです。
イカは、この虹色素胞の層の間隔を微妙に変化させることで、反射する色を青から緑、
時には赤っぽく変化させることさえできると考えられています。
なぜ青く光らせる必要があるのか。
このメタリックな輝きは、単なる飾りではありません。 彼らの生存戦略と深く結びついています。
1. 究極のカモフラージュ
イカが泳ぐ海の中は、太陽光が差し込むと青っぽく見えます。
特に日中、海中から水面を見上げた場合、空の色は青くキラキラしています。
アオリイカが体表で青い光を反射させることで、背景の「青い海」や「水面の光」に溶け込み、
下から狙う捕食者(サメや大型魚)の目をごまかすことができます。
2. 仲間とのコミュニケーション
この輝きは、仲間同士の「合図(サイン)」としても使われます。
特に繁殖期になると、オスは体を鮮やかに点滅させ、メスに求愛行動をとります。
「俺はここにいるぞ。」
「俺は強いぞ。」
と、光のパターンで会話をしているのです。
まとめ
アオリイカがライトで青く光る理由。
- 自ら発光しているのではなく、ライトの光を「反射」している。
- 反射しているのは「虹色素胞(こうしきそほう)」という特殊な細胞。
- 青く見えるのは「構造色」という、色素ではなく形状による光の干渉。
- 目的は「カモフラージュ」と「コミュニケーション」。
次にあなたがアオリイカの青い輝きを見たときは、その皮膚の下にある、
自然界の超ハイテクな「鏡」の存在を思い出してみてください。
只今釣太郎みなべ店で展示飼育中なので、じっくり観察できます。


