「最近、釣りの仲間内で『海水氷』がやたらと評判だけど、正直、氷なんてどれも同じじゃないか?」
「魚はしっかり冷えさえすればいいはずだ。でも、なぜあんなに『魚に良い』と皆が口を揃えるんだろう?」
そんな風に感じているあなたへ。
その疑問、非常によくわかります。
しかし、実は真水から作る氷と海水から作る氷とでは、釣った魚の鮮度と味に、歴然とした差が生まれるのです。
この記事では、なぜ多くの釣り人が海水氷を選ぶのか、その科学的な理由と具体的なメリットを、
誰にでも分かりやすく解説します。
なぜ海水氷が魚に良いのか?3つの決定的理由
「冷えればいい」という考えは、半分正解で半分間違いです。
魚の鮮度を最高レベルで保つには、「いかに速く、そして魚の身に負担なく冷やすか」が鍵となります。
海水氷が優れている理由は、まさにこの点にあります。
1. 氷点下の冷却力!0℃ではない、さらに低い温度
まず、最も基本的な違いは氷そのものの温度です。
- 真水の氷: 0℃で凍ります。
- 海水の氷: 塩分濃度にもよりますが、**約-2℃**で凍ります。
つまり、海水氷は真水の氷よりも2℃も低い温度で魚を冷やすことができます。
このわずか2℃の差が、魚の鮮度劣化のスピードを大きく左右するのです。
温度が低いほど、細菌の繁殖や自己消化(魚自身の酵素で身が分解されること)の進行を強力に抑制できます。
ポイント: 海水氷は0℃以下の力で、より強力に魚の鮮度劣化を遅らせます。
2. 浸透圧の奇跡!魚の細胞を守り、旨味を逃さない
これが海水氷が優れている最大の理由です。少し科学的な話になりますが、非常に重要です。
- 真水氷の場合: 海で生きていた魚の細胞内は、塩分を含んでいます。この魚を真水(塩分0)の氷で冷やすと、「浸透圧」の働きで、塩分濃度の低い周りの真水が、塩分濃度の高い魚の細胞内にどんどん入り込もうとします。
- 結果: 魚の身がブヨブヨになり、水っぽくなります。細胞が破壊されることで、旨味成分も外へ流れ出してしまいます。
- 海水氷の場合: 海水氷の塩分濃度は、魚の体液の塩分濃度と非常に近いです。そのため、水分の出入りがほとんど起こりません。
- 結果: 魚の細胞は正常な状態を保ち、身は引き締まったまま。旨味成分もしっかりと細胞内に閉じ込められ、プリプリとした最高の食感を維持できます。
ポイント: 海水氷は浸透圧によるダメージを防ぎ、魚本来の味と食感を守ります。
3. 圧倒的な冷却スピード
海水氷や、海水氷を溶かした「塩水スラリー(シャーベット状の氷)」は、魚の体表に密着
しやすく、真水の氷よりも熱伝導率が高いという特徴があります。
これにより、魚の体温を素早く芯まで奪い、一気に鮮度を閉じ込めることが可能です。
釣った直後の魚は、まだ体内に熱を持っています。この熱をいかに速く取り除くかが、
その後の味を決定づけるのです。
まとめ:最高の状態で持ち帰るための「一手間」
| 項目 | 海水氷 | 真水の氷 |
| 氷の温度 | 約-2℃(より低い) | 0℃ |
| 冷却力 | 非常に高い | 高い |
| 浸透圧の影響 | ほとんどない(魚に優しい) | 大きい(身が水っぽくなる) |
| 旨味・食感 | 旨味を閉じ込め、身が締まる | 旨味が流出し、身が緩む |
| 冷却速度 | 速い | やや遅い |
いかがでしたでしょうか。
「氷はどれも同じ」という考えが、少し変わったかもしれません。
釣り仲間がこぞって海水氷を使い始めるのは、釣った魚への敬意と、最高の状態で味わいたいという
探求心の表れなのです。
せっかく釣り上げた貴重な一匹。
その価値を最大限に引き出すために、次の釣行では「海水氷」という選択肢を加えてみてはいかがでしょうか。
その違いは、きっとあなたの舌が証明してくれるはずです。


