紀伊半島にお住まいとのこと、海の状況はさぞ気になるところかと存じます。
おっしゃる通り、約7年9ヶ月続いた記録的な「黒潮大蛇行」が2025年に終息し、
黒潮本流が紀伊半島に接岸する流れになりました。
本来であれば、戻りガツオの漁獲に大きな期待が寄せられる状況です。
しかし、現実は厳しい不漁が続いています。
専門家の見解や報道を総合すると、この状況は単一の原因ではなく、
いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
考えられる主な3つの要因
1. 黒潮の流路変化による「漁場の沖合化」
最も大きな要因として指摘されているのが、大蛇行の終息そのものです。
- 大蛇行中: 黒潮が大きく離岸していたため、沿岸との間に反転流などができ、カツオの餌となるイワシなどの小魚(ベイトフィッシュ)が溜まりやすい状況でした。カツオの群れも、その餌を追って沿岸近くに集まりやすい傾向がありました。
- 大蛇行終息後: 黒潮が紀伊半島に接岸し、まっすぐに流れるようになりました。これにより、以前のように餌となる小魚が岸近くに留まりにくくなり、カツオの主漁場がより沖合に移動してしまった可能性が考えられます。和歌山県では、大蛇行の終息後にカツオの漁獲量が最盛期の10分の1に減少したとの報道も見られます。
2. 海洋環境の「タイムラグ」
黒潮の流路という物理的な環境は比較的早く変わりますが、生態系がそれに適応するには時間がかかります。
- 餌の分布: 黒潮の流れが変わっても、カツオの餌となるプランクトンや小魚の分布が新しい海流に適応し、豊かな漁場が形成されるまでには一定の**「タイムラグ」**が生じます。
- 海水温: 2025年は全般的に海水温が高めに推移しています。カツオは暖かい海を好みますが、適水温から外れると回遊ルートや深さを変えるため、これも漁獲が少ない一因となっている可能性があります。
3. 長期的な資源量の問題
短期的な海の状況とは別に、より長期的な視点での懸念も指摘されています。
- 日本に来遊する前の漁獲圧: 近年、南太平洋などのカツオの主漁場において、探索にヘリコプターまで使うような最新鋭の大型巻き網漁船による漁獲が増加しています。これにより、そもそも日本近海にまで回遊してくるカツオの絶対数が減少しているのではないか、という懸念が専門家から示されています。
まとめ
現在、戻りガツオが少ないのは、黒潮大蛇行の終息という好材料がありながらも、
- 逆に漁場が沖合へ移動してしまった可能性
- 生態系が新しい海流環境に適応するまでのタイムラグ
- 日本へやってくるカツオ自体の数が減っているという長期的問題
これらの要因が複合的に影響した結果と考えられます。
漁業関係者も今後の海の状況の変化に期待を寄せているところです。
海の環境が安定し、再びカツオの群れが紀伊半島沖に戻ってくることが待たれます。


