魚を釣り上げた瞬間、海面でお腹が膨らむのはなぜ?
その原因は「ボイルの法則」。
低圧環境による浮き袋の急膨張メカニズムを、釣り人向けにわかりやすく解説。
最初に
釣りをしていると、深場から釣り上げた魚が海面でお腹をパンパンに膨らませて浮くことがあります。
これは病気でも異常でもなく、**「ボイルの法則」**という物理現象が関係しています。
釣り人にとって知っておくべき、水圧と空気の関係を解説します。
ボイルの法則とは?
中学校の理科でも登場する「ボイルの法則」。
これは、
“気体の体積は圧力に反比例する”
というシンプルな法則です。
つまり、
圧力が下がると空気は膨張し、
圧力が上がると空気は縮む、という関係です。
式で表すと:
P × V = 一定(温度が一定のとき)
P = 圧力
V = 体積
海の中では「圧力」が強い
海の中では、水深が10m深くなるごとに、
約1気圧ずつ圧力が増加します。
たとえば:
・水深0m(海面) → 1気圧
・水深10m → 約2気圧
・水深20m → 約3気圧
・水深30m → 約4気圧
つまり、
深場にいる魚は常に強い水圧で体を圧迫されている状態なんです。
魚の「浮き袋」は空気の袋
多くの魚には、体の中に**浮き袋(うきぶくろ)**という器官があります。
これは体の浮力を調整するための空気袋で、
深い場所でも自分の位置を保つために膨らんだり縮んだりします。
しかし、魚が急に海面へ引き上げられると、
周囲の圧力が一気に下がり、
浮き袋の中の空気が急膨張してしまうのです。
実際に起こる現象
たとえば、
水深30m(約4気圧)で泳いでいた魚を釣り上げると、
海面(1気圧)に出るまでに圧力が1/4になります。
ボイルの法則に従えば、
浮き袋の中の空気の体積は約4倍に膨らむ計算です。
これにより、
・腹部が膨張して破裂寸前になる
・口やエラから浮き袋の空気が漏れる
・体内の圧が崩れて浮力を失う
・海面に浮かんで潜れなくなる
といった現象が起きます。
釣り人ができる配慮
深場から釣り上げた魚をリリースする場合、
そのまま放しても浮力で海面に浮いてしまい、
死んでしまうケースが多いです。
そこで有効なのが「減圧リリース」や「ベント針」。
・ベント針で浮き袋の空気を抜いて戻す
・専用リリース機で深場まで再投入する
・長時間エア曝露しない
こうした方法を取ることで、
魚が自然に潜れる確率を上げられます。
代表的に膨張が起こりやすい魚種
・アカハタ
・オオモンハタ
・カサゴ(ガシラ)
・キジハタ
・マハタ
・レンコダイ
いずれも浮き袋を持つ根魚系が代表的です。
一方、イカやカツオなどは浮き袋を持たないため、膨張しません。
AIによるシミュレーション例
| 水深 | 圧力 | 浮き袋体積(相対) | 膨張倍率(海面比) |
|---|---|---|---|
| 30m | 4気圧 | 1 | ×4 |
| 20m | 3気圧 | 1.33 | ×3 |
| 10m | 2気圧 | 2 | ×2 |
| 0m(海面) | 1気圧 | 4 | ×4 |
深い場所ほど、海面に出たときの膨張量が大きくなることがわかります。
まとめ
・ボイルの法則=気体の体積は圧力に反比例
・深場の魚は高圧下で浮き袋が縮んでいる
・釣り上げ時、圧力が下がると一気に膨張する
・浮き袋を持つ魚ほどこの影響を受けやすい
・リリース時は減圧リリースなどの配慮を
要約
魚を急に引き上げると、水圧差で浮き袋が膨張し、海面に浮いてしまう現象が起きます。
これは**ボイルの法則(P×V=一定)**による自然現象。
魚を守るには、深場魚をゆっくり上げる・減圧してリリースするなどの対策が必要です。


